米国の第2次トランプ政権で2度目となる中国との首脳会談が、ワシントンで行われた。習近平国家主席の訪米は約3年ぶりである。
驚いたのは、大国のリーダーとして自信を深める習氏に対してトランプ氏が個人的な関係を強調し、すり寄るような言動を見せたことだ。日本をはじめ、ほかの民主主義国も強い懸念を抱いたに違いない。
国際情勢が不安定さを増す中、米中のトップから国際秩序や平和の構築に向けた明確かつ具体的なメッセージが伝わってこないのは、極めて残念と言うほかない。
会談では、米中が開発にしのぎを削る人工知能(AI)について、悪用防止などに向けた対話の継続で一致した。会談に先立ち、関税や輸出規制の応酬を停止する「貿易休戦」の期限を来年1月まで2カ月延長することで合意した。
焦点の台湾問題では、習氏が「台湾独立に反対する正しい立場を堅持し、慎重に対応」するよう求め、台湾への武器売却を計画する米側をけん制した。台湾統一の目標を譲らない姿勢を改めて鮮明にした形だが、トランプ氏がどう反応したかは明らかになっていない。
イランやウクライナ、朝鮮半島を巡る情勢についても意見を交換したという。トランプ氏は「素晴らしい会談を行った」と記者団に述べたものの、イランとの戦闘終結など事態打開への道筋は示されなかった。
見過ごせないのは、会談前の歓迎式典でトランプ氏が、米中は第2次世界大戦で日本と戦った「同盟国」だったと表現したことである。日米同盟にくさびを打とうとする習氏におもねるような発言だ。
米中会談の2日前、高市早苗首相はニューヨークでトランプ氏と会談し、対中国で緊密に連携することを確認した。事前に認識を擦り合わせ、米中が過度に接近して「ジャパン・パッシング(日本素通り)」となるのを避ける狙いがあった。
しかし、日本の期待を裏切る結果となった。米国頼みで中国への強硬姿勢を取る「高市外交」の限界があらわになったと言える。経済的な結びつきの深い中国との関係が冷え込んだままでは、日本の国益に関わる。首相は自ら対話の糸口をつかむ努力をせねばならない。
経済力と軍事力を背景に、米中は「力による支配」を強めている。日本は米国との同盟を基軸としながらも、多国間の連携や協調を通して「法の支配」に基づく国際秩序の維持に尽力する必要がある。
法の支配の象徴とも言える国際刑事裁判所(ICC)や、国連をはじめとする国際機関を守るために日本がどう行動するかが試金石となる。























