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 将棋の女流棋戦最高位「白玲」を通算5期獲得し、日本将棋連盟の新規定で棋士になる資格を得ていた西山朋佳白玲=女流四冠=が、棋士編入の権利を行使すると表明した。来年4月に四段に昇段する。プロの棋士と女流棋士とは制度が異なり、女性の棋士が誕生するのは初めてとなる。100年を超える将棋連盟の歴史を変える快挙であり、画期的な一歩を心からたたえたい。

 西山新四段は会見で「もっと強い方と戦いたい。もっと上を目指す戦いをしたい」と意気込みを述べた。厳しい道を選ぶには、勇気が必要だっただろう。豪快で力強い棋風で知られるその実力を、プロ棋士の世界でも存分に発揮してほしい。

 女性棋士が出なかった理由の一つには、女性の将棋人口の少なさがあるとされる。今回のプロ入りで、将棋に関心を持つ女性が増えるのではないか。さまざまな分野で女性の活躍が広がる好影響にも期待したい。

 31歳の西山新四段は大阪府大阪狭山市の出身で、中学生のときプロ棋士養成機関・奨励会に入会した。上位2人が四段昇段(プロ入り)となる三段リーグで3位となり、惜しくも昇段を逃した。女流棋士になった後も棋士編入の受験資格を得て、5番勝負の試験に挑戦したが、2勝3敗でわずかに及ばなかった。

 白玲5期獲得で棋士資格が得られる新規定は、昨年の将棋連盟通常総会で、過半数の賛成で承認された。女流棋戦だけの結果で棋士になれるため、慎重論もあった。だが女流棋士のレベル向上は多くのトップ棋士が認めるところだ。女流棋士が重ねてきた努力がこの規定につながり、新時代を開いたと言えよう。

 女流棋士界には、これまで2回の棋士編入試験を受験した福間香奈女流四冠をはじめ、実力者が増えている。今後、西山新四段に続く女性の棋士が出てくるに違いない。

 ただ、課題もある。西山新四段は棋士と女流棋士の兼業となる。双方の対局をこなす日程が過密になることが懸念される。前例のない事態だが、棋士編入の道を設けた以上、日程調整などの工夫が求められる。

 もう一つは妊娠・出産を巡る問題だ。昨年、出産予定日前後の対局が事実上不戦敗となる規定が施行された。これに対し福間女流四冠が「妊娠とタイトル戦の二者択一を迫るもの」として、見直しを求めた。連盟側は規定を削除し、相談窓口を設けるなどの措置を示したものの、福間女流四冠は「不安は拭えない」としており、さらなる検討が必要だ。

 将棋界への女性進出を支えていくには、対局しやすい制度の整備が欠かせない。将棋連盟は女性の声に真摯(しんし)に耳を傾けなければならない。