尼崎JR脱線事故
尼崎JR脱線事故の追悼慰霊式が25日、事故現場の追悼施設「祈りの杜」(兵庫県尼崎市久々知3)で3年ぶりに営まれ、遺族や負傷者ら244人が参列した。主催するJR西日本への不信感などから式典に加わらず、線路のすぐ近くで亡き人を思う遺族もおり「事故はもう二度と起こしてほしくない」と声を絞り出した。
発生時刻の午前9時18分が近づくと、現場近くのカーブを快速列車がスピードを落として通り過ぎた。通勤、通学客で混み合う車内では、車窓から現場を見つめる人もいて、時折すすり泣く声が聞かれた。
時刻になると会場に「哀悼の意を表して、黙とう」とアナウンスが流れた。線路を挟んだ沿道では、JR西の社員ら約50人が並んで目を閉じた。
式典では、犠牲者の名前が刻まれた碑や慰霊碑を前に、JR西の長谷川一明社長が「多くの方々の人生を大きく変えてしまった事実を重く受け止める」と謝罪し、「世代交代が進んでもこの事故を風化させることはない。安全な鉄道を築くために全力で取り組む」と再発防止を誓った。
長女の中村道子さん=当時(40)=を亡くした藤崎光子さん(82)=大阪市城東区=は現場を訪れたが、慰霊式には参列しなかった。
事故の教訓を後世に伝えるため、JR西に現場と事故車両をそのまま保存してほしいと訴えてきたが実現していない。路線の削減方針などのニュースに触れて「利益のことしか考えない体質は全く変わっていない」と感じているという。
亡き娘が愛用していたバッグを手に「娘は今もここで迷い続けている。私のような遺族が二度と生まれないようにしてほしい」と訴えた。(小谷千穂、久保田麻依子、広畑千春)
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