受験生の皆さんは、日常的に読書をしていますか?活字に触れていますか?インターネット上に様々な情報があふれる昨今、SNSでの短文や動画を目にすることがあっても、ある程度の文字数がある文章を日常的に目にする機会は減っているか、あるいは、まったくないと言っても過言ではない気がします。しかし読書は、あらゆる教科の理解や思考のベースになるとされる「国語力」の向上に効果があるとされています。そこで今回は「読む」ことに焦点を当て、受験に役立つ「新聞を使った勉強法」を紹介したいと思います。

■そもそも「国語力」とは?

 「国語力」という言葉は近年、よく耳にする言葉ではありますが、具体的にどのような力を指すのか、みなさんはご存知ですか?

 文部科学省の「これからの時代に求められる国語力」の捉え方では、次の二つの領域が提示されています。

 ①考える力、感じる力、想像する力、表す力から成る、言語を中心とした情報を処理・操作する領域

 ②考える力や、表す力などを支え、その基盤となる「国語の知識」や「教養・価値観・感性等」の領域

 ①の領域に含まれる『四つの力が具体的な言語活動として発現したものが、「聞く」「話す」「読む」「書く」という行為であると考えられる』とあります。

 また、「読書」については、①・②いずれの領域についても密接に関連しており、『国語力を高める上で、読書が極めて重要であることは、この点からも明らかである』と明記してあるのです。(いずれも文部科学省HPより抜粋)

 

■受験生にこそ必要な「国語力」

 さて、当然のことながら入試は問題がすべて紙面に活字で書かれています。

 日常的に活字に触れていないと、いざ文章を読もうと思っても内容が頭に入ってこない、理解できないということが起こってしまい、入試当日にいわゆる「頭が真っ白」な状態になることが予想されます。

 特に兵庫県の公立高校一般入試の国語は、毎年約12,000字の文字数で出題されます。

 国語に限らず、他の科目でも近年では文章量が増え、答えを導き出す前に長文の問題の文章を理解する読解力が必要不可欠となっています。

 活字を日常的に目にする機会が減っている今、意識的にある程度まとまった量の文章を読んでおきたいですね。ただ、これまで習慣のなかった「読書」を「さあ、今日から始めましょう」といっても、なかなか難しいかもしれません。

■新聞を使って「国語力」をアップ

 入試本番まで3~4カ月となり、塾や特別講習などでますます忙しくなる時期だからこそ、日常的に手軽に始めることができる「新聞」を使った勉強法に挑戦してみましょう。

 いきなり「社説」などを読むのはなかなかハードルが高いと思いますので、新聞各社一面の下部にあるコラム(神戸新聞なら「正平調」)がおすすめです。

 記事や社説とは異なる視点で日々のニュースや出来事をテーマに、短い評論や意見が述べられています。

 タイムリーな話題で読みやすく、時事を知るという点でも最適です。

 下記の手順で取り組んでみてください。 

 ①音読→黙読 ⇒内容をしっかり理解する

 ②わからない言葉や表現に線を引き、調べる

 ③筆者の主張を一文でまとめる

 ④内容を50~80字程度でまとめる

 余裕があれば次の内容にも取り組んでみてください。

 ⑤書かれている内容に関して自分の考えを2~3文で理由も含めて書く。

 例えば「私は、○○という意見に賛成だ。なぜなら、〇〇〇…と思うからだ」のように結論と根拠を並べてみましょう。

 ⑥印象に残った(気に入った)言葉や表現を書き留めておく

 自分で文章を書くときに応用がきき、表現に幅ができます。

 ⑦「書き写し」をしてみる

 語彙の習得だけでなく、丁寧に言葉を見て書くことにより、注意力や集中力がつきます。

 まずは日常的に活字を目にし、読んで内容を理解する訓練が大切です。その上で「書く」ことができれば、国語力のパワーアップも間違いなしです。

<執筆者>株式会社創造学園第1課 課長代理・田邊 陽子
 指導歴25年。教室現場で13年、教務部で12年にわたり、国語を専門に創造学園の指導および教材開発の責任者を務める。熟読・多読・速読を学年に応じて身につける学習法を確立し、全教科の基礎となる「読み解く力・考える力=国語力」を育成。カリキュラムと教材開発を通じて、創造学園生の学力向上と志望校合格を支えている。教科指導面では、学研塾講師検定SS級(最高位)を取得し、塾内講師研修でも優秀賞を受賞。検定官としての経験も持つ。現在はオンライン授業を中心に、中学部最難関講座の国語を担当し、生徒から厚い信頼と高い支持を得ている。

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