大阪駅みどりの窓口では、「10時打ち」による指定席券の販売を中止しています。鉄道ファンや旅行ファンの間では話題になりましたが、そもそも「10時打ち」とは何でしょうか。
■「10時打ち」という技
「10時打ち」の解説を始める前に、指定席券(特急券、グリーン券、寝台券も含む)の購入ルールをおさらいします。
指定席券は、乗車する列車が、始発駅を発車する1カ月前(前月の同じ日)の午前10時から、駅や旅行会社の窓口で購入できます。夜行列車で2日目にあたる乗車駅の場合、1カ月と1日前の午前10時から購入できます。
たとえば、5月10日22時にA駅を発車し、B駅に11日0時30分(24時30分)に停車。終着駅Cには11日7時に到着する夜行列車があったとします。この場合、夜行列車の指定券の発売開始は、A駅、B駅ともに4月10日の午前10時です。
指定席の確保は、基本的に早いもの順です。発売開始時に購入手続きをすれば、指定券を入手できる可能性が高くなります。
つまり、「10時打ち」とは指定席券の発売開始となる出発1カ月前の午前10時きっかりに、駅員や係員に指定席券を手配してもらうことを指します。
駅員に「10時打ち」をしてもらうには、9時50分頃にみどりの窓口の前に並び、駅員に購入したい指定券の情報を伝えた上で「10時打ち」を依頼。そして、10時きっかりに駅員が、きっぷを発行する機械「マルス」を操作する…という流れです。
私も、高松・出雲市~東京間を結ぶ寝台特急「サンライズエクスプレス瀬戸・出雲」に乗車した際、地元の駅の「みどりの窓口」で、「10時打ち」の依頼をしました。駅員は10時きっかりにマルスの操作をはじめ、無事にきっぷを購入できました。
■4月1日から大阪駅で「10時打ち」を中止
JR西は4月1日から、大阪駅での「10時打ち」を中止をしています。JR西に中止の理由を尋ねたところ、「整理券システムを導入したため」と回答しました。
現在、JR西では「みどりの窓口」の混雑解消のため、主要駅での整理券システムの導入を進めています。従来「みどりの窓口」では、「列に並んで待つ」スタイルが一般的でした。整理券システムでは、順番が近づくとLINEで教えてくれます。そのため、待ち時間を利用したショッピングも可能です。
一方、整理券方式だと、物理的に「10時打ち」への対応は難しいように思われます。大阪駅のポスターを見ると、「10時以降にお呼び出しした窓口でお申しつけいただく」と書かれていました。
対応策としては、自分で10時に「みどりの券売機」で操作するか、もしくはJR西のネット予約サイト「e5489」の活用が考えられます。「e5489」でも乗車日1カ月前の午前10時から販売を開始。さらに、発売日1週間前の午前5時30分から、事前申込を受け付けています。
ただし、事前申込では「快速マリンライナー」のパノラマシート、「サンライズエクスプレス瀬戸・出雲」「WEST EXPRESS銀河」にある個室・寝台設備、特殊な設備は対象外になっています。
(まいどなニュース特約・新田 浩之)