北海道浦臼町の特別養護老人ホーム、社会福祉法人揺籃会『ゆうあいの郷』でおばあさんと愛猫が8年ぶりに再会し、感動のストーリーとして話題を呼んでいます。
おばあさんは今年7月で100歳を迎えます。再会したのは、これまで一緒に暮らしていた12歳の猫「チャミちゃん」。おばあさんが88歳のときに、捨て猫だったチャミちゃんを保護して一緒に暮らし始めたそうです。
しかし92歳で入院したことをきっかけに、2人は8年間離れ離れの生活を送ってきました。
■ 家族の願いを叶えた「ペット面会」 老人ホームが後押し
社会福祉法人揺籃会『ゆうあいの郷』では、家族から「飼っていた猫を一目会わせたい」と相談を受けた職員たちが、「ぜひ会わせてあげたい」と即決。飼い主とペットの再会を後押ししました。
「ご家族から『チャミちゃんを連れて行くバッグも買いました。一目だけでも会わせたいんです!』と電話がありました。居合わせた職員たちも『それはぜひ会わせたいよね!』と話し合い、すぐに連れてきていただくことにしたんです」と職員は話します。
■ 忘れなかった絆 猫を抱きしめ涙ぐむ100歳になる女性
再会の日。バッグに入ったチャミちゃんと顔を合わせた瞬間、おばあさんは「顔を見せて」「嬉しい、嬉しいなあ」と声をかけ、涙ぐみながら愛猫をギュッと抱きしめました。
「初めは猫をバッグに入れたまま会っていただく予定でしたが、顔を見た途端、もう触れずにはいられない様子でした」と職員は振り返ります。
■ もう一匹の愛猫にも会いたい
おばあさんはこれまでに10匹の捨て猫を保護し育ててきた動物好きです。今も24歳になる高齢の愛猫が自宅にいて、娘さんが世話をしています。
「本当はその愛猫ちゃんにも会わせたかったのですが、体調が思わしくなく外に連れ出すのが難しい状況です。ただ、車椅子でご自宅にお連れして会わせてあげたいと考えています」と職員は語ります。
■ 特別養護老人ホームで実現する「人とペットの再会」
社会福祉法人揺籃会『ゆうあいの郷』では、今回のような高齢者とペットの面会をこれまでも支えてきました。
「以前も、愛犬を連れて面会に来てくださったお孫さんがいました。柴犬のこたろう君は園内を駆け回り、他の利用者さんや職員の癒しの存在でした。退所後も『セラピードッグとしてまた来ます』とおっしゃってくださっています」
■ SNSで話題に 「幸せな時間」のお裾分け
老人ホームの公式Instagramに投稿されたこの再会エピソードには、「幸せな時間」「心のモチベーション上がる」「素晴らしい施設ですね」と多くの反響が寄せられています。
特別養護老人ホームでのペット再会は、家族や動物とのつながりが高齢者にとってどれほど大切かを改めて教えてくれます。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)