高島礼子と共演する倉野尾成美
高島礼子と共演する倉野尾成美

「総監督として見習うべきものばかりでした」

AKB48グループ4代目総監督・倉野尾成美(24)は心から高島礼子(60)を尊敬している。

■元気だけを武器に

終戦80周年平和記念作品『ハオト』(8月8日公開)で共演。戦時下の精神病院で婦長を務める貝瀬(高島)を慕う真関看護師を演じた。高島に対する倉野尾のリスペクトがそのまま反映されたようなキャラクターだ。

「貝瀬婦長に憧れる駆け出しの看護師で一生懸命頑張りますが、役割的にはコミカル担当。戦争を扱うシリアスな物語ではありますが、真関ちゃんのシーンはクスっと笑えるところもあるので、てんやわんや感やおてんば感をわかりやすく表現していきました。高島さんが貝瀬婦長を演じる際に両手を胸の前に重ねる仕草をされていたので、私もそれを真似ることで真関ちゃんの中にある婦長に対する尊敬を表しました」

高島をはじめ、原田龍二、長谷川朝晴、片岡鶴太郎らベテランが顔をそろえる。

「そうそうたるベテラン俳優の方ばかりの中に入ってしっかりとしたお芝居ができるのかなと。しかも戦争が題材の作品。ずっと不安でクランクイン直前までおびえていましたが、出演者の中で一番若いので『体力ならばあります!』という元気だけを武器に飛び込みました」

■高島礼子は現場監督?

高島とは倉野尾が初主演した映画『いちばん逢いたいひと』(2023年)で共演済。しかし長期間撮影を共にしたのは今回が初めてだ。演技面はもちろんのこと、撮影現場での高島の立ち振る舞いを目にして「なんてカッコいい女性なのだろう」と、改めて心底痺れたという。

「高島さんがいらっしゃる日といらっしゃらない日では現場の空気がまったく違うというか、場の雰囲気を一変させるメリハリがカッコよかったです。何かのトラブルで撮影が止まったりしてピリッとした空気になった時に『頑張りましょう!』と全体の士気を上げるような言葉を率先して口にされたり、差し入れを食べて無邪気に『美味しい~!』と言って周りを朗らかな空気に変えてくださったり。役柄は婦長ですが、高島さん自身はまるで現場監督のよう。AKB48の総監督として見習うべきものばかりでした。その憧れの気持ちが自然と自分の演技にも反映されていきました」

『ハオト』は終戦80周年平和記念作品と銘打って劇場公開される。世界的に紛争が絶えない時代にあって、平和記念という言葉により重みが増す。

「私自身、戦争を描いた作品を観ることで自分の知らなかった歴史を学ぶことがあるので、作品を通して平和の尊さを伝えていくのは大切なことだと思います。幸せに暮らしている時間が長くなると平和のありがたみに対する感謝が薄れてしまうこともあるので、観客の皆さんには悲惨な時代があって平和な今があるという事実を改めて知ってもらいたいです」と願っている。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)