ブラジルのダンス ※画像はイメージです((JLco) Julia Amaral/stock.adobe.com)
ブラジルのダンス ※画像はイメージです((JLco) Julia Amaral/stock.adobe.com)

「日本人は夜、どんな音楽で踊るの?」--ブラジルでサッカーの練習に参加していた日本人高校生が現地で受けた“衝撃の質問”が、Xで話題を呼んでいます。投稿者で小説家の森晶麿さん(@millionmaro)によると、「踊らない」と答えた息子の返答に、ブラジルの友人たちは天地がひっくり返ったような反応を見せたといいます。日本ではあまりに馴染みのない質問内容に、投稿には「日本人は、朝はラジオ体操と言う踊りを踊るんだ」「強いて言うならラジオ体操で始まり蛍の光で終わります」など日本独自のラジオ体操文化を回答するコメントが多数寄せられました。

森さんの長男は、ブラジルのU18プロリーグ育成組織にトライアル参加中、現地の友人たちが毎晩踊っている光景を目の当たりにしました。ある日、「君の国ではどんな音楽で踊るんだ?」と聞かれ、日本では日常的に踊る文化がないと伝えたところ、友人たちは驚きを隠せない様子だったそうです。

「息子は、改めて二国間のギャップが面白可笑しく感じられたようです」

長男の話によると、基本的には現地での流行りのポップスに合わせて踊るようですが、たとえ異国の音楽でも、踊れそうな音楽なら何だってサーフィン感覚で乗りこなす感じなのだそう。

「それこそ、サッカーというものも、息子の肌感覚としては『彼らにとっては踊りの延長なんじゃないか』ということです。息子も『踊れよ』と言われて、少しは踊っていたようです。実際、日本へ帰国してからは音楽を聴きながら体を揺らしている場面をよく見ますね」

”踊る”以外にも、ブラジルでの生活を通して長男は文化の違いに触れたようだと話す、森さん。

「若者であっても当然のごとく、夜になると”祈る”光景は、大きな文化の違いとして感じられたようです。ただ陽気に生きているようでも、その背後に宗教があって祈りがある。あと、全体にすごくフレンドリーで、公園でも一度話しかけられたらもう顔見知り、みたいな気安さがあるそうです」

この長男の話は、小説家である森さん自身の創作活動にも、ある気づきを与えました。

「たとえば『書く』行為。日本にいると『踊る』という感覚はあまりないですが、”文体に乗った状態”で『書く』という感覚はあります。そういった『書く(=踊る)』瞬間でしか生まれない解放感はあるだろうな、というのは感じます。息子のブラジルでの話を聞いてから、『もっとストリート的な感覚で執筆したい』という衝動は高まってきているかもしれません」