飽きて辞めてしまうリスクが…(増田さん提供)
飽きて辞めてしまうリスクが…(増田さん提供)

新しいことを始めるとき、多くの人が「まず基礎から順番に学ぼう」と考えるのではないでしょうか。日常のライフハックを発信している増田さんが投稿した『基礎は「後回し」でええんやで』では、増田さんが体験した絵画教室での出来事を描いています。

絵画教室に通い始めたある日、先生が「増田さんはどういう絵が描きたいの?」と尋ねます。増田さんは「まずは基礎から」と答えました。ところが先生は「初心者だったら基礎はやらない方がいい」と意外な返答をします。

先生曰く、描きたいものを描いて、行き詰まったときに基礎に戻ればいいと続けます。そのアドバイスを聞いた増田さんは面白いと感じ、学びに対する考え方が大きく変わるきっかけになったといいます。

私たちは「まず基礎から」と考えがちですが、最初から基礎ばかりを重視すると、退屈さに負けてやめてしまうことも少なくありません。これは、学生時代には退屈だった勉強が、大人になってから急に面白く感じられることにも通じているのでしょう。好きなように進めている中で必要性を実感したときに初めて基礎の大切さに気づき、学び直す意欲が生まれるのです。

そんな学び方について描いた同作について、作者の増田さんに話を聞きました。

■「押し付けない」ことが子育てにもつながる

ー「基礎はやらない方がいい」と言われたとき、どのように感じましたか?

正直、基礎力をアップするために教室に通いはじめたので衝撃でした(笑)。でも、先生の話は考えれば考えるほど納得できたんです。なので、教室では基礎のデッサンをやりつつ、自宅では好きに絵を描いてみようという二段構えにしました。

ー「描きたいものを描いて行き詰まった時に基礎に戻ればいい」という教えは仕事にも通じますか?

今感じるのは、特に子育てで活きていると思います。娘は、小さい頃にピアノを習っていたのですが、特に基礎をしっかりしようという方針で、けっきょく嫌になってやめてしまいました。今は絵を描くのが好きなのですが、好きなキャラクターやアニメの絵を、誰に言われるでもなく描いて、その中で自分なりに課題を見つけて、本を読んだり動画を見たりして修正して…というサイクルでうまくなっているなあと思います。

その様子を見て「好きだからやる」という気持ちを邪魔しないようにしよう、と考えるようになりました。

ー長文のコメントがたくさんありましたが、気になった声は?

いろいろな分野の皆さんに共感いただいたので、どこでも共通する法則なのだなあと思いました。農業や、クラシックバレエ、ピアノ、ギター、歌唱、学校の勉強、絵画、英語教室、料理、ウクレレ、DIY、歴史…と本当に多種多様なジャンルからコメントいただけて非常に参考になりました。

(海川 まこと/漫画収集家)