神戸市が神戸海軍操練所跡に設ける展示施設のイメージ図(同市提供)
神戸市が神戸海軍操練所跡に設ける展示施設のイメージ図(同市提供)

 神戸市は11日、江戸時代末期に幕臣の勝海舟の進言で設けられ、坂本龍馬らも学んだとされる神戸海軍操練所跡(同市中央区新港町)に、展示施設を設けると発表した。幕末や明治時代の遺構とみられる石積み防波堤が見つかっており、一部を直接見られるように整備。灯台の役割を果たした「神戸燈竿」も再現する。出土物や資料を並べた展示室を設け、2027年度のオープンを目指す。

 操練所は、幕府が1864年に開設した海軍士官養成機関。長州藩が京都御所へ進攻した「禁門の変」に操練所生が関与したことを機に、勝は軍艦奉行の職を解かれ、操練所も1年足らずで閉鎖された。明治時代、その跡地に港湾施設が築かれたという。

 2023年の発掘調査で遺構が発見され、神戸港の礎となった防波堤や、神戸燈竿が設置されていた敷石なども見つかった。

 展示施設は広さ約2千平方メートル。これらの防波堤や敷石の一部に、訪れた人が実際に触れられる場所を設け、高い位置から全体を見渡せる設備も造る。展示室には出土した外国製の陶磁器やインク瓶などを集め、歴史的背景をパネルで解説する。

 周辺の臨海部一帯は市が再整備を進めており、操練所跡も含まれる。このため展示施設は5年程度の暫定利用とし、開発後の新たなビルに操練所跡の展示スペースを設ける方針という。

 久元喜造市長は「ウオーターフロント全体の魅力を高め、集客力を高める施設になると期待している」と話した。(斉藤正志)