生まれたばかりの娘を太い腕に抱いた瞬間、覚悟は決まった。
ボディビル界のスーパースターとの異名をとる相澤隼人(25)が俳優業に進出。『ベイビーわるきゅーれ』で知られる阪元裕吾監督待望の新作『フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡[私闘編]』(10月10日公開)で殺人ドロップキックの使い手を演じる。
■娘の自慢のパパに
3年連続ボディビル日本チャンピオンという輝かしい功績の持ち主。規格外の新人俳優だ。そんな経歴からパーソナルトレーナーとして引く手あまただが、あえて俳優業優先でスケジュールを組んでいる。ボディビルの世界的カリスマの生き様に大いに刺激を受けながら。
「アーノルド・シュワルツェネッガーはボディビルでトップにまで上り詰め、俳優転身後はハリウッドで大成功。カリフォルニア州知事にまでなった人です。そんなヒストリーを見た時に、自分としてはボディビルからトレーナーの道に進むのは単なるレールに従っているだけのような気がしました。ボディビルとは全くの別路線で新しくキャリアを築き上げる事にロマンを感じるというか、シンプルにカッコ良いと思いました」
ボディビルを始める前から秘めていた俳優への憧れ。夢への挑戦最後の一押しは、愛娘の誕生がもたらした。
「2024年3月に娘が生まれた時に、ついに『やるぞ!』と腹を括りました。娘に自慢されるパパになるために挑戦する姿を見せたいと。超自己満足かもしれませんが…。妻に『俳優になる!』と伝えた時は『どうしたの!?』と言われましたが、今では納得して応援してくれています。娘の年齢=自分の俳優としてのキャリアだと思って頑張ります」
■和製シュワちゃん
演技のワークショップに通い、世界での活動も視野に英語も特訓中。ゼロからの挑戦かと思いきや、ボディビルで培った技術力や表現力が俳優としての武器になることに気付いた。
「15キロ程度の体重の増減ならば余裕で出来ますし、ボディビルという“魅せる”プレゼンテーションを長らく経験してきた自分としては、カメラの位置によって自分がどう映っているのかイメージする事は得意です。後はいかに演技力を磨いていくか。それが勝負の分かれ道」
事務所に所属していないフリーランス俳優という自由度を活かし、SNSを通して阪元監督に直談判。俳優デビューを自らの手で掴み取った。行動力も武器に、目指すは和製シュワちゃんだ。
「ボディビル出身の日本人俳優のパイオニアとして、和製アーノルド・シュワルツェネッガーを目指していきたいです。俳優としては駆け出しの駆け出しのまだまだの人間ですが、ちょっとずつ着実に結果を残していきたいです」
(まいどなニュース特約・石井 隼人)