「スーツケース、取り間違いされた」「間違えた人、戻ってきて」ーー空港の手荷物受取所でのスーツケースの取り間違いが後を経ちません。各地の空港では「取り間違いが大変増えています」といった注意喚起の放送が流れ、ネット上ではSOSの投稿が並んでいます。できれば避けたいトラブル。経験者に話を聞きました。
■2つのスーツケース…色も傷もそっくり
ベトナム・ハノイ在住の日本人男性「Ken Yaman」さんは昨年、日本に一時帰国した際、成田空港でスーツケースの取り間違いをしてしまいました。海外生活約10年。飛行機の搭乗回数も多く、ロストバゲージに見舞われそうになったこともしばしば。ですが、「加害者になるのは初めて」。
原因は「あまりにも似ていて、タグのチェックをしなかったため」。2つのスーツケースはブランドや色、サイズも同じ。傷み具合までそっくりでした。
宿到着後、疲れのため寝入ってしまい、間違いに気付いたのは翌朝。すぐに空港に電話するも、早朝だったため営業時間外。居ても立っても居られず、他人のスーツケースを持って再び成田空港へ。
空港に着き、前日利用した航空会社のスタッフを見つけて事情を話すと、スタッフは「あっ!」。本来の持ち主からロストバゲージの届け出があったようで、話はすぐに通じました。
スーツケースの持ち主は日本を訪れた外国人でした。電話で連絡がつき、滞在先のホテルへ宅配便で届けることで一件落着。
反省しきりだったKenさんに対し、空港の宅配便窓口の担当者は「毎日よくあることだから、まぁ気にしないで」となぐさめてくれたそう。
全ての手続きが終了するまで、持ち主の気持ちを考えるといたたまれなかったKenさん。「慣れてるつもりでも要所要所での確認は必要」と身を引き締めました。
◇
Kenさんは投稿サイト「note(ノート)」でも今回の出来事をつづっています。Kenさんのページは「Ken Yama(n) @TABIHORU 旅を深掘り 異文化を知る喜びを」。
■航空会社「間違いのないようにご注意ください」
預けた荷物は、空港に到着後、便ごとに手荷物受取所のターンテーブルに流れてきます。乗客は自ら荷物を見つけて、タグの名前や番号などを照合の上、引き取らないといけません。
もし取り間違いが起きたらどうすればいいのか。航空各社では、すぐに到着空港に引き返すか、電話連絡するよう呼びかけています。
例えば、日本航空では「お手荷物を引き取り忘れた場合や第三者のお手荷物を誤って引き取った場合は、直ちに到着地空港へお戻りいただき係員へご申告ください」。全日空は「すぐに到着地空港へご連絡ください」。スターフライヤーやピーチ・アビエーション、エア・ドゥなどでも同様の案内を行なっています。配送の場合は「配送費はお客さま負担となりますので引き取り間違いのないようご注意ください」(日本航空)。
■派手な色、ステッカー、写真撮影…予防策あれこれ
ネット上ではさまざまな体験談が。「スーツケースがない。似てるのがターンテーブルをぐるぐるまわってる。誰か間違えた?」「間違えられた。私の返して!」「持って行かれた」「同じ色のが残ってる」「似たスーツケースだらけ。間違えそうで怖い」など。
おすすめの予防策を発信する人も。「スーツケースを新調するときはなるべく派手な色を選びます」「遠くからでも一目でわかる派手なカバーをつけてます」「ハンドルにバンダナを巻いてます」「布製タグもおすすめですよ」「ド派手なステッカーがおすすめ」など。中には、万が一のときに特徴を説明しやすいように、スーツケースの写真を撮っておくという人も。
船や高速バスなどでも荷物の取り間違いは起こるため、運行業者の中には公式SNSを通じて「受け取るときは三度見して」と発信するところもあります。
(まいどなニュース・金井 かおる)

























