私の「推し活」を鼻で笑う夫…
私の「推し活」を鼻で笑う夫…

近年「推し活」や「オタク趣味」はすっかり市民権を得た印象があります。好きなキャラクターやアーティストに夢中になることは、年齢や性別に関係なく、日常に彩りを添える大切な楽しみですよね。

しかし、家族の理解が得られるとは限りません。特にパートナーから、趣味に対して白い目を向けられてしまう…そんな悩みを抱える人も少なくないようです。

東京都在住の会社員・C子さん(40代・女性)もそのひとり。「好きなものを楽しみたいだけなのに、まるで『いい歳して恥ずかしい』みたいな扱いをされるのがつらかったんですよね…」と語ります。

■推し活をバカにする夫にモヤモヤ

「私は昔から漫画やアニメが好きで、休日にはグッズを見に行ったり、たまにイベントにも遠征したりしてたんです。でも、結婚してから夫がすごく冷ややかで…」

C子さんによると、夫は彼女の推し活に対し、どこか見下すような態度をとるようになったそうです。

「『いい歳してアニメ?』『俺はファッションとか音楽しか興味ないわ~』って。言い方にトゲがあるというか、こっちの楽しみをちょっと下に見ている感じで、だんだん遠征の予定を言うのも気まずくなってました」

夫婦といえど、趣味の違いはあるもの。けれど、あからさまに水を差されるのはやはり辛かったといいます。

■ある日見つけた「まさかの証拠」

そんなモヤモヤを抱えていたある日、思いもよらぬ事実が発覚します。

「クローゼットの中を整理していたら、奥の方から美少女アニメキャラのキーホルダーやフィギュア、ライブ用のペンライトがごそっと出てきたんです。私のものじゃない…ということは、夫の!?と、すごく驚きましたね」

思わず「えっ?」と声が出たC子さん。夫に問いただすと、最初は「昔ちょっと見てただけ」とごまかしていたものの、話していくうちに観念したように白状したといいます。

「実は、昔めちゃくちゃハマってて、グッズも捨てられなくて…。今でもちょっとチェックしてる」

まさかの形で「隠れオタ」バレしてしまった夫。それまでC子さんの趣味を冷笑していた夫が、実は美少女アニメが大好きな同じ穴のムジナだったというオチに、C子さんはなんとも言えない気持ちになったそうです。

「だったら最初から素直に言えばよかったのに…って。私は堂々と楽しんでるのに、なんで夫はコソコソ隠れて、しかもこちらを見下す必要があったんだろう?って思いました」

■趣味に優劣なんて、ない

この出来事をきっかけに、夫婦で「お互いの趣味を否定しないこと」を暗黙のルールにしたというC子さん。今では、夫もたまに配信でアニメを一緒に観たり、こっそりスマホゲームのガチャを引いている姿も目撃されているとか。

「趣味って誰かと比べるものじゃないし、恥ずかしがるものでもないはず。楽しいものを楽しいって言える空気があるのが、本当の安心感なんじゃないかなって、最近やっと思えるようになりました」

  ◇  ◇

ふとしたきっかけで、身近な人に隠していた趣味がバレてしまったーーC子さん夫婦のような事件も、世間ではしばしば起こっているようです。以下に、寄せられた体験談をいくつかご紹介します。

・学生時代から某男性アイドルグループが大好きなんですが、結婚してからはさすがに部屋に写真やポスターを飾る勇気もなくて、寝室のクローゼットの裏に貼ってこっそり楽しむのにとどめていたんです。

ある冬の日、義母が泊まりに来たときに「毛布ある?」って聞かれて、うっかり「寝室のクローゼットにあります」と言っちゃったんですよね。数分後、毛布を手に戻ってきた義母が、なぜかこう一言。

「…あの子、王子様みたいなお顔ね」

えっ!?見た!?いや、見たよね!?めちゃくちゃ心臓止まりかけました。でも、そのあと義母が「もっと明るいところに飾ったらいいのに」ってサラッと言ってくれて。…え?推し、受け入れられてる!?って逆に動揺しました(笑)。その日から、リビングにもしれっとポスターを飾るようになりました。(女性・30代・パート)

・架空のアイドルがたくさん出てくるゲームが大好きなんですが、営業職でスーツバシッと着てるし、社内では完全に趣味を隠してたんです。なのに、リモート会議中にネット環境が不安定で、なぜかカメラの背景が自分の実際の部屋に切り替わるという悲劇が発生。見事に、壁一面のポスターが公開されました(社内20人参加)。会議が滞りなく終わったあとに自分の部屋と推しが大公開されていることに気づき、上司が爆笑。チャットが沸きまくりました。

以来なぜか、社員から「コンビニで一番くじがありましたよ」「今度、ライブやるみたいですよ?」って推しの情報を教えてもらえるように…。まぁ、隠さなくていいってのはラクですね(笑)。(男性・30代・会社役員)

・若い頃から特撮ヒーローが好きです。息子の保育園グッズにも、気合を入れた手描きのヒーローグッズを持たせてました。ある日のお迎えの時間に、同じクラスのお母さんが近づいてきて「息子くんの仮面ラ◯ダーグッズ、手作りですか?本当にすごいですね」って。

うっかり声が裏返りました。「あっ…えっと…違います!…いや…すみません、私が作りました…ハイ…」みたいなテンパり方をしてしまって。でもそのお母さんが「私も仮面ラ◯ダーシリーズが大好きなんです!」って爆笑してくれて、そこから一気にオタトークが炸裂。今では一緒に映画やヒーローショーを見に行く仲になりました。 オタバレ、ヒヤヒヤするけど…時には良縁を呼びますね。(女性・20代・デザイナー)

--誰だって、何かしら「好きなこと」を持っているもの。それを隠したり、バカにしたりするのではなく、互いに理解し合える関係でいられたら…。夫婦であれ、家族であれ、「推し活」は日常をちょっと豊かにしてくれる、立派なコミュニケーションツールになるのかもしれませんね。

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◆はいどろ漫画 日常の事件や、身近なスカッと話をお届け!【はいどろ漫画】のInstagramで連載漫画を描いてます。