2025年度の新聞協会賞を受賞した社の記者らによる講演会が1日、横浜市中区のニュースパーク(日本新聞博物館)であった。「阪神・淡路大震災30年報道」で受賞した神戸新聞社の取材班代表、中島摩子・阪神総局デスク兼編集局編集委員は「災害は社会の弱いところを突くと改めて実感した」と遺族らへの取材を振り返った。
「30年報道」は、阪神・淡路大震災の発生から今年1月17日で30年となるのに合わせ、昨年1月にスタート。災害の記憶は発生30年を境に継承が難しくなるとする「30年限界説」を乗り越え、震災の教訓を後世に伝えるキャンペーン報道を行った。
中島デスクはまず、阪神・淡路の被害について説明した。神戸新聞社本社が全壊し、京都新聞社との協力で新聞発行を続けたことなどに触れ「これまでの30年間、神戸新聞は被災地の内側から声を上げてきた」と述べた。
30年報道では能登半島地震の発生も踏まえ、過疎化や高齢化、ジェンダーといった現代リスクを考える連載を展開。中島デスクは「命を守るための報道とは、平時からのリスクを見て見ぬふりしないことだ」と思いを込めて語った。
このほか、「日本郵便による不当に高額な違約金や不適切点呼をめぐる一連の特報」(朝日新聞社)や「JR貨物脱線事故 破断した腐食レール」のスクープ写真(北海道新聞社)の受賞講演もあった。(名倉あかり)

























