漫画を読んでいると、ストーリーの流れから「このキャラ、死ぬのでは…」と予想する読者は多いでしょう。漫画家・千悟センゴさんの作品『盟友生命防衛戦』は、死亡フラグが文字通り『視える』主人公を描いた話題作です。同作はX(旧Twitter)にて大きな反響を呼び、約8000もの「いいね」を集めました。
防衛特殊部隊のエース・エーリクは「死がもっとも近い者に“死の影”が視える」能力を持ち、その力で数々の成果を挙げてきました。しかしある日、その影は親友ベルトに忍び寄っていたのです。
親友だけは死なせまいとエーリクは単独で任務に挑みますが、そこにはなぜかベルトの姿もありました。ベルトの死の影はみるみる巨大化し、やがて左の方角を示します。実は、死の影には探知機のような役割もあったのです。
ベルトを護るため、エーリクは必死の思いでなんとか敵全員を撃破します。残すは武器庫の爆破だけ…そう思った瞬間、違法武器組織のトップ・ハインツが現れました。彼はベルトを負傷させ、「我々の組織に加入しなさい 仲間の命は助けましょう」と取引を持ちかけます。
絶体絶命の状況の中、エーリクは死の影が『希望を口にした者に取り憑く』ことに気づきます。エーリクの夢は「ベルトの結婚式に参列すること」。その夢を声に出した瞬間、死の影はエーリクを覆い『思い出のお守り』で弾を防いだのです。
そして見事ハインツを打ち破り、違法武器組織は一斉摘発され戦争は終結しました。
それから数カ月後、エーリクは初めてベルトの恋人に会います。しかし2人には『ハートが割れそうな影』が視えていました…。
実は、彼女には父が別の婚約者を連れてきていたのです。こうして『結婚フラグ』を折らせないための『盟友結婚大作戦』が幕を開けたのでした。
読者からは「コミカルなストーリーが面白かった」「フラグを逆手に取るのは意外」など、さまざまなコメントが寄せられています。そこで同作の作者・千悟センゴさんに話を聞きました。
■『死亡フラグ』とは何なのか必死に考える主人公を楽しんで欲しい
-『死亡フラグ』ともいえる“死の影”が視える斬新な設定は、どのようにして生まれたのでしょうか。
読切の企画を考える際、コミカル・バトル・ミリタリーの要素を入れた作品を作りたいと考えていました。
そこで戦場舞台の作品で王道中の王道セリフ「この戦いが終わったら~」から始まる物語にしようと思いました。
「読者は分かっているのに、作中のキャラクターは死亡フラグという概念が分からないというズレ」「キャラクターは死亡フラグとは何なのかを、必死に真剣に考え奔走する」という構図が作れたら面白いなと思い、死亡フラグを言い換えた「死の影」という設定が生まれました。
そして、「どういう発言・行動が死の運命を招くんだろう」という死亡フラグのシステムを主人公が分析し、そのシステムに気づいて逆に利用する展開にしました。メタのようでメタでない、意外な展開になる作品を目指して制作した作品になります。
-本作を描くにあたり、特に意識された点や読者に注目してもらいたい場面があれば教えてください。
普段は淡々と任務をこなしそうな主人公が、親友のことになると叫んだり涙を流したりと感情豊かになる部分を笑ってくれたらいいなと思います。
また、扉絵・最後のページに出てくるタイトルロゴ・アオリ文も芸が細かいのでぜひ見てみてください!
-最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。
このたびは拙作を読んでくださってありがとうございます!デビュー作の読切だったので、多くの方に読んでいただけて嬉しかったです。現在連載中の作品「ブルーオーシャンインジアイズ」でも読切作品のようなキャラ同士のコミカルな掛け合いや、息を呑むバトルが展開されているので、こちらも併せて楽しんでくれたら幸いです!
(海川 まこと/漫画収集家)

























