「今日は退去立会いでしたが、今から入居か?って程お部屋がピカピカすぎて嬉しくて泣きました。これぞ立つ鳥跡を濁さず」
そんな投稿がXで大きな反響を呼んでいる。
投稿したのは、町不動産さん(@machirealestate)。賃貸不動産の現場に立ち続けてきた“プロ”が、思わず感情を揺さぶられたという退去立会いのエピソードだ。
「今すぐ内覧できそう」
「前の住人が綺麗だと、それだけでこの部屋に住みたいと思う」
「水回りがピカピカだと愛を感じる」
リプライ欄には、感心する声が続出。
一方で、「入居時にクリーニング代を払っているのに、退去時も請求されるのは二重取りでは?」「退去費用って、どこまでが妥当なの?」といった切実な疑問も多く寄せられた。
そこで今回、町不動産さんに詳しく話を聞いた。
■関西の1LDK、40㎡。3年住んだとは思えない状態
今回話題になった物件は、関西地方にある1LDK(約40平米)。退去者は約3年間住んでいたという。立会い時の第一印象について、町不動産さんはこう振り返る。
「とにかく水回りが、住んでいなかったかのようにピカピカで驚きました。汚損や破損箇所もまったくなく、丁寧に暮らしてくださっていたことが伝わってきて、感動と感謝の気持ちでいっぱいになりました」
長年不動産賃貸業を営んできた中でも、ここまでの状態での退去は「ごくたまにしかない」と言う。
■不動産のプロが考える「理想的な退去」とは
では、プロの目から見て「理想的な退去」とはどんな状態なのか。
「隅々まで掃除が行き届いているだけでなく、今回のように“磨き上げて返してくださる”と、本当に胸を打たれます。滞納もなく、トラブルもなく、最後に鍵を返していただく。その一連がとても気持ちいいんです。美しい心の持ち主だな、と感じました」
“借りた部屋を綺麗に返す”という行為は、単なる作業ではなく、人柄や姿勢までも映し出す…。そんな言葉が印象的だ。
■これだけ綺麗でも退去費用はかかる?二重請求の実態
リプライでも特に多かったのが、退去費用に関する疑問だ。結論から言うと、今回のケースでは退去費用は一切発生しなかった。
「故意や過失で設備を壊していた場合は実費をいただきますが、今回はそれが一切ありませんでした。経年劣化による壁紙の汚れなどで、請求することもありません」
また、「入居時にクリーニング代を払っているのに、退去時にも請求されるのは普通?」という疑問については、「私どもでは、ダブルで請求することはありません。ただし、オーナーさんの考え方によって対応が異なるのが実情です」と語る。不安な場合は、契約時に特約の内容をしっかり確認しておくことが重要だ。
■退去前、ここだけはやっておきたいポイント
最後に、これから退去を控えている人へのアドバイスを聞いた。
「まずは掃除。特に水回りはできる範囲で綺麗にしておくと印象が全然違います。それから、傷や破損があれば正直に伝えてください。入居時に気になった点は、最初に写真を撮って確認しておくのも大切です」
入居時と退去時で、対応する管理会社が異なるケースも多い。“言った・言わない”のトラブルを防ぐためにも、記録を残すことが自分を守ることにつながる。
■「これはちょっとグッときた」母としての一面も
町不動産さんは、こんなエピソードも教えてくれた。
息子さんが一人暮らしを終えた際の退去立会いで、「本当に4年住んでたの?」と言われるほどピカピカにして返したという。
「私は一切手伝っていませんし、掃除しなさいとも言っていません。管理会社の方にも褒められたと聞いて、これはちょっとグッときましたね」
部屋は、ただの“箱”ではない。そこに住んだ時間や、人の在り方までも映し出す。次に鍵を返すとき、少しだけ丁寧に向き合ってみる。それだけで、誰かの一日を、そして次の住人の暮らしを、そっと明るくできるのかもしれない。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)























