世帯年収が高い層は「計算力も高い」層が多いという傾向 ※画像はイメージです(miya227/stock.adobe.com)
世帯年収が高い層は「計算力も高い」層が多いという傾向 ※画像はイメージです(miya227/stock.adobe.com)

公益財団法人スプリックス教育財団(東京都渋谷区)は、基礎学力に対する意識の現状を把握することを目的に、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」を実施しました。それによると、「基礎学力の一部である計算力と世帯年収等のSES(家庭の社会経済的背景)がどの程度相関があるのか」の国際比較において、世帯年収が高い層は「計算力も高い」層が多いという傾向が確認できました。

調査は、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国の小学4年生および中学2年生相当の子ども(各学年150人)、日本の小学4年生(400人程度)とその保護者(240人程度)を対象として、2025年4月~7月の期間に世界5カ国ではインターネットパネル調査で、日本では調査参加校の教室にて実施されました。

まず、「基本的な計算力と世帯年収の相関」について、世帯年収層別(※)に見ると、世界5カ国と日本の双方において、「世帯年収が低いほど計算力が低め」の割合が高くなった一方、「世帯年収が高いほど計算力が高め」の割合が高いという典型的なSES(家庭の社会経済的背景)の相関が見られました。

特に日本においては、世帯年収が高い層の56%が計算力が高い層に含まれており、「高い計算力を持つことと世帯年収の高さ」に強い相関があることが示されました。

※世帯年収や計算力が国による差が大きいため、各国内での相対的な経済力・計算力を比較できるよう、世帯年収層および計算力層を国別学年別にそれぞれ高・中・低、A・B・Cの3層に分類しています。

世帯年収と計算力の相関は、直接的な影響ではなく間接的な影響である可能性もあるため、一般的に学力に相関があるとされる「教育費」「本の数」「親の学歴」についても分析を実施(※)。

その結果、世界5カ国、日本の双方において、いずれの指標においても「低い/少ないほど計算力が低め」の割合が高く、「高い/多いほど計算力が高め」の割合が高くなるという典型的なSES(家庭の社会経済的背景)の相関が見られました。

特に日本では、「教育費が高ければ高いほど子の計算力が高い」「両親ともに大卒以上であれば子の計算力が高い」傾向が強く、両親ともに大卒の場合は計算力が高い層の割合が62%に達し、両親とも非大卒の場合(24%)と比較して38ポイントもの差が見られたことから、保護者の学歴や教育にかける熱意が教育費へと反映されて、子どもの計算力に影響している可能性を示唆しています。

※教育費:「習い事にかけている1か月あたりの費用」を国別学年別に高・中・低
本の数:家庭に所有する本の数を、「本箱2つ分以上」「本箱1つ分程度」「本箱1つ分未満」で多・中・少
親の学歴:保護者の学歴が大学または大学院である人数で2・1・0。無回答、その他、不明を除く

また、世帯年収層別にみた「大学以上への進学を希望する割合の変化」を見ると、世界5カ国、日本ともに、保護者と子ども両方において「世帯年収が高いほど、高い学歴を希望する」傾向が見られました。ただし、世界5カ国は非常に高い有意性を示したものの、日本では統計的有意性は示されませんでした。

日本は統計量が少ないこと、ごく一部の自治体における調査であることや、大学進学費用の懸念が平均的な世帯にも存在すること、日本の小学4年生は「進路が未定」とする割合が極端に高いこと等様々な要因が考えられます。

なお、本調査で実施した計算テストの形式は、参加国によって内容が異なります。

インターネットパネル調査のグループ:TOFASの問題を一部抜粋した短縮版(全32問)を実施。回答形式は4肢択一の選択式。
教室で参加したグループ:学校の教室において、国際基礎学力検定TOFASの計算テストを受験。回答形式は、選択式と記述式を併用。

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【出典】
▽スプリックス教育財団調べ