線路内に取り残された女性を助けた土井千鶴子さん=伊丹市西台5
線路内に取り残された女性を助けた土井千鶴子さん=伊丹市西台5

 線路内に取り残された女性を助け出したとして、兵庫県警伊丹署は、同県伊丹市内で中華料理店を営む土井千鶴子さん(47)に県の善行賞「のじぎく賞」を伝達した。

 2月6日午後9時ごろ、日課のウオーキングで阪急新伊丹駅近くを通りかかると「線路内の人を助けてあげて」と声をかけられた。そばの踏切を見ると、警報器が鳴る中、遮断機の先に60代の女性が立っていた。

 「暗くて非常停止ボタンの場所が分からない」。土井さんはとっさに遮断機をくぐり、女性の元へ駆け寄った。「どうしたん」と話しかけると、女性は「私、どうなってもいいねん」とつぶやき、微動だにしない。「死んだらあかんで」と声をかけながら、女性の背中に手を当て、優しく線路の外に誘導した。当時を「とにかく助けたい一心だった」と振り返る。

 救助後、事情を聴くと、女性は「夫とけんかをして死のうとしていた」という。その手は震え、ぐったりとしたため、近くの人に頼んで警察と救急車を呼んでもらい、女性は一命を取り留めた。

 同署の丸山文勝署長は「危険を顧みず、勇気を持って人命を助けた」とたたえ、のじぎく賞を手渡した。土井さんは過去にも人助けの経験があるといい、「見て見ぬふりができない性格。今後も困っている人を見たら手助けしたい」と笑顔を見せた。

(田中朋也)