提供メニューの見た目だけでなく、味にもこだわっている「こころね珈琲」
提供メニューの見た目だけでなく、味にもこだわっている「こころね珈琲」

ニャンともかわいい猫型のホットケーキや犬猫モチーフのドリンクなど、かわいいメニューがSNSで話題になっているのは、兵庫・神戸市にある「こころね珈琲店」(kokorone_coffee)。

週に1回だけ開く「こころね珈琲店」はまるで、絵本の中に飛び込んだような世界観。実は店主さん、精神科の相談員として働いていたことがあり、カフェに救われた経験からお店のオープンに踏み切りました。

■精神科の相談員から“カフェの店主”へ転身

学生時代から志していた精神科の相談員として働いていた、店主さん。働く中で、ある想いが強くなっていきました。

「25歳になったら、日本中を旅して様々な生き方に触れた上で、本気でやりたいことに挑戦したいと考えるようになったんです」

そこで、精神科の相談員を4年勤めた後、バイクでの日本一周の旅にチャレンジ。旅の中で多くの人と出会い、自分の進む道について、改めて考えるように。その中で気づいたのが、相談員時代、疲れた時に何度も救われていた場所が“カフェ”だったということ。

自分も、誰かの心をそっと癒せる場所を作りたい。そう思い、カフェ経営に挑戦しました。

「もともと、猫が営む不思議な珈琲店が描かれている小説『満月珈琲店』シリーズが好きだったこともあり、絵本の中に入り込んだような気持ちになれる珈琲店を作ろうと決めました」

■来店客の“心の根っこ”にまで優しさが染みるカフェを目指して

訪れた人の“心の根っこ”にまで、優しさが静かに染みるようなお店にしたい。そんな想いから、店名は「こころね珈琲店」に。

お店を週1日だけオープンするシステムにしたのも、ふと不思議なお店が現れる『満月珈琲店』シリーズの世界観を実現したかったからです。

“週末だけ現れる珈琲店”にしたことで、当初はなかなか認知されず、苦労したことも。SNSなどを活用し、認知度の向上に励みました。

そうした努力は実を結び、今では全国各地からお客さんが訪れるように。お店の一番人気は、猫型の「ねこまみれホットケーキ」。実はこのホットケーキにも、優しい裏話があります。

「もともとは、オープン当初から来てくださっている常連の女の子に喜んでもらいたくて、試行錯誤して生まれたメニューでした」

■人気メニューの裏にある奥さんの動物愛

かわいいメニューを考案・制作しているのは、店主さんの奥さん。もともと、絵本や物語に出てくるような空想のスイーツを考えるのが好きだった奥さんは自分たち夫婦が抱く犬猫への愛を反映し、犬猫モチーフのメニューを生み出しました。

「妻は実家で長年、チワワの景虎(男の子)と暮らしていました。一般的なチワワより少し大きく、媚びず、ねだらず、まるで武士のような気質の子でした」

景虎くんは家族内でも、奥さんにしか抱っこや散歩を許さなかったそう。奥さんを母親のように慕い続け、昨年、天国へ旅経ちました。

そうした景虎くんへの愛も反映しつつ、奥さんはメニューを考案。

「最初にアイデアを見た時は、本当に作れるのだろうかという気持ちもありましたが、実際に形になったものを見て、魔法のようだと思いました。お客様からも、『実在してるんですね』と驚かれます(笑)」

■賞味期限がある“やりたい想い”を大切にしてほしい

大人になってから新しいことを始めるのには、勇気がいるもの。しかし、店主さんは自分の中にある“やりたい想い”を大切にしてほしいと話します。

「“やりたい”という想いには、消費期限があると感じます。もし、芽生えたなら、小さくてもいいので、一歩を踏み出してみてほしい。きっとそこから、環境や景色が少しずつ変わり始め、やりたいことに近づいていく流れが生まれるはずです」

実際、自身はカフェ経営を始めてから、「毎日が発見と刺激に満ちている」とワクワクできるようになったと言います。

「相談員時代は安定しており、やりがいもあったものの、心が大きく揺れるような瞬間は少なかったように思います。今は不安定さや大変さもありますが、それ以上に心が動き、感動のある日々を過ごせています」

なお、店主さんはカフェ経営を続けていくにあたり、アドバイスを貰ったり助けてもらったりした、須磨の飲食店のオーナーさんたちに大きな感謝を抱いています。

友人や家族、恋人と過ごす時間はもちろん、おひとり様も大歓迎。日々の疲れを、そっとほどいてほしい。そう話す店主さんはカフェを通して、日常に疲れ切っている人々の心をケアし続けます。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)