よく耳にする「推し」という言葉。熱心な人がいる一方で、その愛情の深さを理解しきれない人もいるでしょう。そんな2人の温かな友情を描いた漫画『おねがい誰にも言わないで』(作:満月とまとさん)が、SNSで話題となっています。
主人公がネットニュースで友人の「推し」が卒業を発表したことを知る場面から物語は始まります。友人がその「推し」を10年間応援してきたことを、主人公はよく知っていました。主人公が「大丈夫?」と連絡しても、友人から返ってきたのは何事もないような返信だったため、主人公は「逆に怖い」と感じるのでした。
すると友人から「でも7月17日はうちでご飯食べない?」という誘いが届きます。その日は「推し」の卒業ライブの日でした。主人公は「一緒に見たいってことだよね。やっぱり大丈夫ではないのかも」と内心で友人を案じます。その一方で主人公は、「私でいいのかな。いまだに推しっていう感情がよくわからないのに」と複雑な気持ちを抱えます。
そして卒業ライブ当日、主人公は約束通りに友人の家を訪れました。友人は普段と変わらない様子でしたが、「この10年間さー、マジで毎日ららちゃんのこと考えててさー」と心境を語り始めます。
彼女は「推し」に対してSNSでコメントするだけでなく、1度もネガティブな言葉は言わなかったといいます。「言葉は呪いだから」と語る彼女の声には、抑えていた感情がにじみ出ていました。
続けて彼女は暗い表情で「今日だけは言ってもいいかな」と、「推し」へ最後のメッセージを送ります。主人公は彼女が「推し」に対して非難や暴力的な言葉を送ると思っていましたが、実際に画面に映し出されたのは「10年間ずっとここにいてくれてありがとう。ららちゃん、星にかえってもしあわせに暮らしてね。」という感謝の言葉でした。
これを見た主人公は、思わず「ひどいことを言う流れかと思った」と言うと、友人は涙を浮かべながら「私の愛をなめるなよ。最後に台無しにしてたまるか」と語ります。その後、友人は「推し」への想い、外野の声への怒りなど、これまで胸に抱えていた感情を一気に吐き出します。そして最後に小さく「…やめないでほしかった…」と呟くのでした。
泣き出した友人は「誰にも言わないでね」「笑っていいよ」と言いますが、主人公は「そんなことできないよ」「きみの10年を笑うわけない」と答えます。推しへの想いを完全には理解できなくても、友人の10年を知る主人公だからこそ、「きみの愛を笑わないよ」という言葉が静かな余韻を残すのでした。
読者からは「すごい…なんか圧巻だった」や「途中で言ってることすごいわかる」など2人の関係性や推しへの想いへの共感する声が多くあがっています。そこで同作について、作者の満月とまとさんに話を聞きました。
■単純に自分がSNSなどを使用するにあたっての戒め
ーこのテーマを描こうと思ったきっかけは。
仲の良い子のジャンルも背景も全くわからない好きな人やものの話を聞くのが好きで、反映されているとしたらその体験だと思います。
-印象的なセリフが多いですが、どのように生まれたのでしょうか。
上記のようにお友達が好きなものを好きに喋ってるのを観たり聞いたりしているのが好きなため、あなたが何かを好きだった時間も想いも笑わないよの意味を込めています。
言葉は呪いのあたりは単純に自分がSNSなどを使用するにあたっての戒めです。たぶんそのあたりの考えが勝手に反映されている気がします。
-現在の活動や今後の予定を。
今年はニコニコ漫画でトンチキラブコメを個人連載しています。あとは気ままに短編漫画などをpixvに掲載したりKindleインディーズでまとめて読めるようにしてあるのでもしよかったら読んでもらえたらうれしいです。
(海川 まこと/漫画収集家)























