課長の怒りが止まらない(クマさん提供)
課長の怒りが止まらない(クマさん提供)

ブラック企業側が全ての悪...そう感じる人は少なくないでしょう。しかし、働く側の姿勢を少し変えることで状況が変わることもあるのかもしれません。そんな意外な視点を描いた漫画『上司に怒られた。どうして謝らなきゃいけないの?』(作:クマさん)がSNSで注目を集めています。

主人公・立花ゆう子は、会社に行くのが嫌でたまらない普通の会社員です。ゆう子は、通勤電車の中で「また課長に何か言われるかもしれない」と憂うつな気持ちでいっぱいです。前日も仕事の進捗が遅れていることについて怒鳴られました。そして課長が怖くて相談できないゆう子は、怒られるたびに頭を下げるばかり。

ゆう子が謝るたびに課長は「もっと頭使えよ。小学生じゃないんだからさ」と小言を続け、ゆう子はそれを硬直したまま聞き続けるしかありません。そして怒られ続けるゆう子の頭の中は「あと6時間ガマンすれば帰れる…」と、思考停止状態になってしまいます。その姿は同僚に心配されるほど表情が失われていました。

そんなある日、ゆう子は夢を見ます。夢の中で課長は笑顔で「君…クビね」と告げるのでした。職を失うことに焦るゆう子の前に現れたのは、ブラック企業で疲れた人に取り憑くという小さな熊「ブラックマ」です。

ブラックマは、このままではゆう子が不用品として会社から見捨てられてしまうこと、そしてその未来はゆう子自身の選択の積み重ねによる結果だと告げます。ゆう子が変わらなければ未来も変わらないことを言い残し、夢は終わりました。

翌日出勤すると、課長は体調不良で休んだことを理由に「ノルマもこなせていないのに、気合が足りんのだ!」と怒鳴ります。いつものように謝ろうとしたその瞬間、「どうして謝るの?」という声と共に、ブラックマがゆう子に取り憑きます。

するとゆう子の目つきは一変し、「相談に乗って頂けますでしょうか」と落ち着いて課長に話しかけます。そして課長のアドバイスもあり、ゆう子は徐々に成績を伸ばしていきました。

その様子を見た同僚は「これでもう課長に怒られなくてすむね」と微笑みます。しかし、「そうね…」と答えるゆう子の頭には、しっかりとブラックマが乗っており、どこか不穏な余韻を残して物語は終わります。

読者からは「ちゃんと言い返すと急に弱くなる上司っていますよね」や「不穏」といった声があがっています。そこで同作について、作者のクマさんに話を聞きました。

■もっと自分がこうすればよかったと省みたことがきっかけです

ー働く側に「意識を変える必要がある」と描かれていますが、このアイデアはどこから。

会社を辞めて個人事業主になって、初めて人を雇う側(経営側)の気持ちがわかったといいますか。どうしても雇われの身だと自分の不遇や目に見える部分(職場)だけが世界のすべてになってしまって、なぜ自分が責められるのかがわからなくなってしまいます。

自分で事業をするようになって、何が必要で、何が不必要なのかが見えてきて、会社にいる時にもっと自分がこうすればよかった、こんな努力ができたんじゃないか、と省みたことがきっかけです。

 ー主人公と同じような読者に向けて伝えたいことを。

職場や上司にもよるので一概には言えませんが、なるべく多くの人に相談するのがいいと思います。第三者からみて誰に問題があるのか、何が問題なのかをはっきりさせることで解決策が見えてくるかもしれません。自分一人だとどうしても視野が狭くなってしまいがちなので。

ー読者に感じ取ってもらいたいことを。

このお話のテーマは「自分自身と向き合うこと」です。少しだけスマホを手放して、何もしない時間をとり、自分の声を聞く時間をとるのも大事かなと。今つらくないか、我慢していることはないか、例えば仕事を頑張ったならよくやったねとぜひ自分をいたわってあげてください。

(海川 まこと/漫画収集家)