新車とスマートキー※画像はイメージです(あんみつ姫/stock.adobe.com)
新車とスマートキー※画像はイメージです(あんみつ姫/stock.adobe.com)

リセールバリュー総合研究所が実施した「新社会人のクルマ購入・通勤に関する意識調査」で、新社会人世代の約半数にあたる48.7%が「クルマの購入予定はない」と回答していることが明らかになりました。さらに、購入しない理由として最も多かったのは「お金がない」ではなく「そもそも必要性を感じない」(51.1%)であり、クルマの位置づけが若年層の間で大きく変化していることが浮き彫りになりました。

この調査は、2026年2月に全国の18~25歳の男女474人を対象に実施されました。

■クルマへの関心は"二極化" 低関心が最多も3人に1人は高関心

まず、「周囲の同世代と比べて、クルマへの関心は高いと思いますか」という質問に対し、「低いと思う」と回答した人は44.7%と最多で、「同じくらい」が20.3%という結果でした。一方で、「やや高い」(21.7%)と「かなり高い」(13.3%)を合わせた"高関心層"も35.0%にのぼっています。

つまり、若年層のクルマ意識は一様に低下しているわけではなく、強い関心を持つ層とほとんど関心を持たない層が明確に二極化している実態が明らかになりました。

■購入意向は関心度で明確に分かれる

「新社会人になってから(またはなるタイミングで)クルマを購入したか、する予定ですか」という問に対して、「購入予定はない」と回答した人は48.7%、「検討中」が16.5%となり、一方で「すでに購入した」(17.5%)、「購入予定がある」(17.3%)を合わせて34.8%となりました。

ただし、関心度別に見るとその差は顕著です。関心が「かなり高い」層では52.4%がすでに購入済みである一方、「関心が低い」層では80.7%が「購入予定はない」と回答しました。クルマへの関心の有無が、購入行動に直結していることがわかります。

■買わない理由は「お金」より「必要性なし」

続いて、「購入しない理由として最も近いものはどれですか」と尋ねたところ、最多は「そもそも必要性を感じない」(51.1%)でした。次いで「購入資金がなく、経済的に買えない」(17.7%)、「親に反対されている」(12.6%)、「公共交通機関で足りている」(11.3%)が続きます。

経済的な理由を挙げる層も一定数いるものの、過半数が「必要性を感じない」と回答しています。新社会人にとってクルマは「買えないもの」ではなく、「なくても困らないもの」へと位置づけが変化しつつあると言えるでしょう。

■首都圏では3人に1人がクルマ通勤に抵抗 地域差も明確に

クルマ通勤への意識を地域別に見ると、「抵抗がある」と答えた割合は首都圏で33.8%と、その他地域(22.3%)を大きく上回りました。一方で、「クルマで通勤したい」「どちらかといえばしたい」を合わせると首都圏でも39.1%にのぼり、否定的・肯定的な意見が拮抗しています。

また、その他地域で「クルマで通勤したい」と答えた人は26.9%となり、首都圏(17.2%)より高く、地方ほどクルマ通勤への前向きな意識が強い傾向が見られました。とはいえ、「都市部は不要、地方は必要」という単純な図式では語れず、首都圏内でも意識が分かれているのが実情です。

■購入者の約7割が家族の支援あり "家族支援型"のカーライフが主流

クルマの購入費用について、「全額または大半を支援してもらった」(39.5%)と「一部を支援してもらった」(33.5%)を合わせると、73.0%が親・家族から何らかの金銭的支援を受けていました。一方、「支援はなかった」と回答したのは27.0%にとどまります。

この結果から、新社会人にとってクルマは"完全な自立消費"というよりも、家族と共有するライフイベントとしての側面が強いことがうかがえます。若年層のカーライフは、家族のサポートを前提とした"家族支援型"が多数派となっています。

■支出意識も二極化 熱量層と無関心層で価値観が真逆に

クルマにお金をかけることについて、支出意識を関心度別に見ると、その差は鮮明です。関心が「かなり高い」層では「多少無理をしてでも好きなクルマに乗りたい」が47.6%と最多だった一方、「関心が低い」層では「そもそもクルマにお金をかける価値を感じない」が48.1%を占め、「無理してでも乗りたい」はわずか0.9%でした。

すなわち、若年層のクルマ観は"多少の負担もいとわない熱量層"と"優先順位が低い無関心層"とに二極化されており、同じ世代でも価値観が大きく異なる構造となっています。

■希望メーカーは「未定」が最多 トヨタが具体的メーカーでは首位

最後に、「今後クルマを購入するとしたら、最も買いたい自動車メーカーはどれですか?」という質問では、「特に決まっていない(未定・わからない)」が最多となりました。具体的なメーカーを意識していない層が多数を占めるなかで、メーカー別では「トヨタ」が2位にランクインし、3位は「ホンダ」、4位は「日産」、5位は「スズキ」という結果になりました。

ただし、特定ブランドへの強い集中は見られず、若年層のメーカー志向は必ずしも明確ではありません。クルマへの関心そのものが低い層が多い現状を反映した結果と言えるでしょう。

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本調査では、新社会人世代の約半数が「購入予定なし」と回答しており、その主な理由は経済的な問題よりも「必要性を感じない」という意識の変化にあることが明らかになりました。クルマへの関心・支出意識・購入意向のいずれにおいても"熱量層"と"無関心層"への二極化傾向が鮮明であり、若年層を一括りに「クルマ離れ」と捉えることは実態とは異なると言えるでしょう。クルマが「必需品」から「選択肢のひとつ」へと変化しつつある今、無関心層にいかに新たな価値を伝えるかが、自動車業界の今後の課題となりそうです。

【出典】
リセールバリュー総合研究所