クルマ選びで悩ましいのが、「新車を買うべきか、それとも中古車でワンランク上を狙うべきか」という問題だ。特にSUV市場では、同じ予算でも選択肢が大きく変わることが少なくない。今回比較するのは、マツダの3列シートSUVであるCX-8(KG系)の中古車と、ホンダの最新ミドルサイズSUVであるZR-V(RZ系)の新車。価格帯が近いにもかかわらず、ボディサイズやキャラクター、使い勝手は大きく異なる2台だ。
中古車であれば、かつてフラッグシップとして販売されていた上級SUVに手が届く一方、新車なら最新の安全装備や燃費性能、保証面の安心感が得られる。それぞれに明確なメリットがあり、どちらが「正解」という単純な話ではない。
本記事では、燃費性能や価格、装備、室内空間、走行性能、リセールバリューまで多角的に比較しながら、「どんな人にどちらが向いているのか」を分かりやすく解説していく。予算400万円前後でSUV購入を検討している人にとって、有力な判断材料になるはずだ。
【POINT】マツダCX-8(KG系)がおすすめな人
・3列シートのSUVが欲しい
・パワフルなディーゼルエンジン車に乗りたい
・高速道路でのロングドライブが多い
・できるだけ広い室内のSUVがよい
【POINT】ホンダZR-V(RZ系)がおすすめな人
・ハイブリッド車(e:HEV)に乗りたい
・街中で扱いやすいボディサイズがよい
・シーンを問わず運転を楽しみたい
■CX-8はフラッグシップモデルに相応しい装備と走行性能が魅力
▽マツダCX-8(KG系)の特徴
2017年に登場し、2023年まで販売されたマツダCX-8(KG系)。3列シートSUVブームの火付け役となったエポックメイキングなモデルだ。当時のマツダにおけるフラッグシップSUVという位置付けもあり、高い走行性能に加え、ラグジュアリー感のあるインテリアや充実した快適装備を備えていた。
搭載エンジンは、絶大な人気を誇った2.2L直列4気筒ディーゼルターボに加え、2.5L直列4気筒ガソリンエンジン、2.5L直列4気筒ガソリンターボエンジンの計3種類。トランスミッションは6速ATのみの設定となる。駆動方式は2WD(FF)と4WDが用意された。
CX-8(KG系)は全車3列シート仕様。2列目シートは、定員2名のキャプテンシートと定員3名のベンチシートを設定し、3列目シートは全車2名定員となる。
運転支援システムでは、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を標準装備。さらに、車両の前後左右に装着された4つのカメラ映像を走行状況に応じて切り替え、センターディスプレイに表示する「360°ビューモニター」を設定。死角や障害物との距離を目視で確認できる。2022年の大幅改良後モデルは、現在でも見劣りしない安全・運転支援性能を備えている。
また、2022年の改良では、スイッチ操作ひとつで任意に走行モードを切り替えられる「Mi-Drive(ミードライブ)」を新採用。安全面では、3列目乗車時の後方追突に対する衝突安全性を強化したほか、アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)の機能向上やクルージング&トラフィック・サポート(CTS)の採用により、安全性をさらに高めている。
■ZR-VはSUVながら、現行型シビック譲りの高い運動性能が特徴
▽ホンダZR-V(RZ系)の特徴
2023年4月に販売開始したZR-V(RZ系)は、シビックをベースとしたスタイリッシュなクーペフォルムをまとう都市型SUVだ。SUVのコア価値である「実用性」に加え、最新の安全装備による高い安全性が生み出す「信頼感」、異彩を放つ存在感のある「デザイン」、そして爽快かつ快適な「走り」という、すべての要素を高次元で融合することを目指して開発された。
スポーティな走りを実現するため、ヒールポイントからヒップポイントまでの高低差を小さくするなど、ドライビングポジションにも徹底的にこだわっている。これにより、クルマとの一体感を味わえる点が特徴だ。
ZR-V(RZ系)に搭載されるパワートレインは2種類。ひとつは「スポーツe:HEV(イー・エイチイーブイ)」と呼ばれる2.0L直列4気筒直噴エンジン+2モーターハイブリッドシステムだ。エンジンは最高出力141ps、最大トルク182N・mを発生し、最大熱効率41%を実現。これに最高出力184ps、最大トルク315N・mを発生する走行用モーターを組み合わせることで、3.0L V6自然吸気エンジンに匹敵する加速性能を実現している。
もうひとつは、最高出力178ps、最大トルク240N・mを発生する1.5L直列4気筒直噴VTECターボ+CVTの組み合わせだ。2.4L自然吸気エンジンに匹敵するトルクにより力強い加速を実現し、高回転域までスムーズに吹け上がるリニアな出力特性が特徴となっている。
駆動方式は、2WD(FF)に加え、「リアルタイムAWD」を採用した4WD車を全グレードに設定。この4WDシステムは前後駆動力配分を最適化することでタイヤの接地性を高め、雪上などの滑りやすい路面でも高い走行安定性を確保する。また、ドライブシーンに応じて選択できるドライブモードスイッチを搭載。ノーマル、エコ、スポーツに加え、SUVらしくスノーモードを設定している。
安全装備では、全グレードに最新の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」を標準装備。フロントガラス内に搭載されたワイドビューカメラは約100度の広角カメラと高速画像処理チップにより対象物の検知精度を向上させている。さらに、前後バンパーに4カ所ずつ設置されたソナーセンサーが近距離の外壁やガラスなどを高精度で検知し、踏み間違いによる誤発進抑制や衝突回避をサポートする。
加えて、ホンダ車専用車載モジュールを搭載し、新世代コネクテッド技術「Honda CONNECT」によるカーライフサポートサービス「Honda Total Careプレミアム」に対応。安心・安全をさらに高めている。
2025年5月には一部改良を実施。シビックRSやフリードなどで採用されている新たな外装塗装技術を導入し、クリア材を従来のアクリルメラミン素材から機能性を高めた素材へ変更した。これによりボディの艶感が向上し、耐久性は従来比で1.5倍以上に高められている。
■主力のパワートレインで比較すると燃費はハイブリッドのZR-V(RZ系)が優勢
▽1.燃費性能
・CX-8(KG系)の評価は4.0
・ZR-V(RZ系)の評価は4.5
【CX-8(KG系)の燃費(WLTCモード)】
・2.5L直4DOHCエンジン:12.4km/L(2WD)、12.2km/L(4WD)
・2.5L直4DOHCターボエンジン:12.0km/L(2WD)、11.6km/L(4WD)
・2.2L直4ディーゼルターボエンジン:15.8km/L(2WD)、15.4km/L(4WD)
【ZR-V(RZ系)の燃費(WLTCモード)】
・1.5L直4ガソリンターボエンジン:14.5~14.6km/L(2WD)、13.9km/L(4WD)
・2.0L直4ハイブリッド車:22.0~22.1km/L(2WD)、21.5~21.7km/L(4WD)
ボディサイズが1クラス以上小さく、車両重量も軽いZR-Vのほうが、いずれのパワートレインにおいてもCX-8を上回る燃費性能となった。これは車格や重量差を考えれば、当然の結果といえる。
注目すべきは、CX-8で人気の2.2Lディーゼルターボと、ZR-Vの2.0Lハイブリッド(e:HEV)との燃費差だ。2WDモデル同士で比較すると、その差は約6.2km/Lと大きい。カタログ燃費の数値だけで見れば、ZR-Vの圧勝といえるだろう。
しかし、CX-8の2.2Lディーゼルターボは燃料に軽油を使用する。2026年2月時点では、軽油が140円/L、レギュラーガソリンが152円/Lと、軽油のほうが約12円/L安価だ。
カタログ燃費値をもとに1000km走行した場合の燃料費を試算すると、CX-8は約8861円、ZR-Vは約6909円となる。燃費性能ではZR-Vが優位だが、燃料単価が安い軽油を使用することで、実際の燃料費差は数値ほど大きくはないことが分かる。
過去にはレギュラーガソリンと軽油の価格差が約20円/L前後まで拡大した時期もあった。今後この価格差がさらに広がれば、ディーゼル車のランニングコストはより有利になる可能性がある。
■両車共に充実装備の豪華仕様
▽2.価格比較
・CX-8(KG系)の評価は4.0
・ZR-V(RZ系)の評価は4.0
※中古車相場は、2025年9月調べ
CX-8の中古車相場とZR-Vの新車価格を比較した。
・ホンダZR-V e:HEV Z 2WD 新車価格:423万5000円
・マツダCX-8 XDスポーツアピアランス 2WD中古車相場: 2023年式370万円~400万円
CX-8は2017年から2023年まで販売されたモデルで、現在は中古車のみでの流通となる。中古車市場では、全年式を通じて2.2L直列4気筒ディーゼルターボを搭載した「XD系」グレードが中心だ。2022年の大幅改良後モデルもXD系を軸に流通量が豊富で、グレード構成に大きな偏りがなく選択肢が充実している点が特徴といえる。
一方、ZR-Vの人気グレードは、車両本体価格423万5000円のe:HEV Z 2WD。この価格帯で比較すると、CX-8最終年式のXDスポーツアピアランス(6人乗り・2WD)の中古車中心価格帯は約370万~400万円となり、十分にターゲットとなる。予算面ではCX-8のほうがやや余裕を持ちやすい。
CX-8は毎年のように改良を重ね進化してきたモデルであり、年式によって装備や性能に若干の差がある。ただし、2022年の大幅改良後モデルであれば最終型ということもあり、安全装備や走行性能は熟成されており、満足度は高い水準にある。
人気グレードであるXDスポーツアピアランスは、シート表皮にスムースレザーを採用。運転席&助手席パワーシート、シートヒーター&ベンチレーション機能、10.25インチセンターディスプレイを標準装備する。さらに、キーを携帯していれば足元操作で開閉できるハンズフリー機能付きパワーリフトゲートも標準装備だ。ただし、BOSEサウンドシステムはオプション設定となる。
対するZR-Vの上級グレードであるe:HEV Z 2WDは、Honda CONNECTディスプレイ+ETC2.0車載器(ナビ連動)をはじめ、12スピーカーのBOSEプレミアムサウンドシステム、運転席&助手席パワーシートを標準装備。さらに、シートヒーターは前席に加え後席左右にも備わる。本革シート、ワイヤレス充電器、予約クローズ機能付きパワーテールゲートなども標準装備されている。
両車とも最上級グレードということもあり、装備は非常に充実している。CX-8で注目したいのはシートベンチレーション機能だ。特に夏場は快適性を大きく高める装備で、ZR-Vには設定がない点は差別化ポイントとなる。
一方、ZR-VはBOSEサウンドシステムが標準装備される点が魅力だ。CX-8でBOSEにこだわる場合は、オプション装着車を慎重に探す必要がある。
■マイナーチェンジも近いZR-Vは新車値引きに期待大!
▽3.購入時の値引き術
・CX-8(KG系)の評価は3.0
・ZR-V(RZ系)の評価は4.0
ZR-Vは2023年4月にデビューし、すでに約3年が経過している。そろそろマイナーチェンジのタイミングを迎える可能性もあり、新車値引きの“ガード”はやや緩んできている。
商談を丁寧に進めれば、値引き額は25万円前後を引き出せるケースもあるだろう。CX-5やフォレスターなど、ZR-Vと価格帯が近いライバル車としっかり競合させることが、値引きを拡大させるポイントだ。相見積もりを取り、比較検討している姿勢を示すことで、より好条件を引き出しやすくなる。
一方、CX-8は中古車での購入となるため、基本的に値引きはほぼゼロと考えておきたい。中古車は総額表示が原則で、価格競争も激しいため利益幅は大きくない。そのため、大幅値引きを提示された場合は「なぜ安いのか」を冷静に確認する必要がある。修復歴の有無や保証内容、諸費用の内訳などを慎重にチェックしたい。
そして注意したいのが下取り車の扱いだ。必ず買取専門店などで事前査定を受け、愛車の相場を把握しておくことを強くおすすめする。そのうえで、ディーラー下取り額と比較し、最も条件の良い方法で売却すればよい。下取り価格次第では、実質的な“値引き効果”が大きく変わることもある。
■両車ユニークな都市型SUVデザインを踏襲
▽4.デザイン比較
・CX-8(KG系)の評価は4.0
・ZR-V(RZ系)の評価は4.0
▽CX-8は無駄を削ぎ落としたシンプルながら、質感の高さを表現
CX-8のデザインコンセプトは「TIMELESS EDGY」。これは、普遍的な美しさと上質なデザインによって、日々の生活の中で心地よい刺激を感じ続けてもらうことを追求したものだ。
美しさと品格を突き詰めたエクステリアは、スタイリッシュでコンパクトなキャビンと、それを支える存在感のあるボディとのコントラストを強調。伸びやかでバランスの取れたプロポーションが大きな特徴となっている。
ボディサイドは、面の抑揚を抑えたシンプルかつダイナミックな造形とし、刻々と変化する光の映り込みを美しく表現。大らかさや豊かさ、そしてエレガンスを感じさせる上質感を創出している。また、フェンダーのボリューム感やショルダー部の張り出しによって、SUVらしい逞しさもしっかりと表現している。
さらに、サイドウインドー全周にクロームメッキモールをあしらい、BピラーおよびCピラーにはピアノブラックガーニッシュを採用。細部の質感にもこだわり、高級SUVとしての存在感を際立たせている。
▽ZR-Vは楕円体のようなスタイルでスポーディさを強調
ZR-V(RZ系)の外観デザインは、「GRAMOROUS×ELEGANT」という世界観と、SUVらしい力強さを同時に表現している。
前後に長い楕円体をモチーフとし、その前端を潔く切り落とすことで、流麗かつ均整の取れたフォルムを創出。力強くグラマラスなプロポーションをベースに、台形スタンスと大径タイヤを組み合わせることで、安定感を強調している。
フロントグリルを起点にシャープなラインを放射状に走らせることで、ボディサイドへの連続性を強調。クルマ全体としての一体感と塊感を演出している。
サイドビューでは、フロントグリルから始まる楕円体のイメージを滑らかに受け継ぎ、リアに向かってボリュームを増幅。隆起させたリアフェンダーにより、スポーティで踏ん張り感のあるスタンスを表現している。これにより、都会派SUVとしての新しい美しさを提案している。
両車とも都会派SUVカテゴリーに属するモデルだが、ZR-Vはよりアスリート的で躍動感を強調したデザインが特徴といえる。
■ミニバンの代わりを目指したCX-8(KG系)の圧勝
▽5.室内空間と使い勝手
・CX-8(KG系)の評価は4.5
・ZR-V(RZ系)の評価は4.5
CX-8(KG系)と5代目RAV4(50系)のボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。
【CX-8(KG系)】
・ボディサイズ:全長4925mm×全幅1845mm×全高1730mm
・ホイールベース:2930mm
・室内サイズ:室内長2690mm×室内幅1540mm×室内高1250mm
・荷室容量:230L(3列シート利用時)、563~591L(3列シート格納時)
【ZR-V(RZ系)】
・ボディサイズ:全長4570mm×全幅1840mm×全高1620mm
・ホイールベース:2655mm
・室内サイズ:室内長1930mm×室内幅1530mm×室内高1195mm
・荷室容量:395L(e:HEV)、408L(ガソリン車)
CX-8とZR-Vのボディサイズを比較すると、全長は355mm、全幅は5mm、全高は110mm、CX-8のほうが大きい。特に全長の差は大きく、CX-8が圧倒的に長いボディをもつ。
室内寸法を比較すると、CX-8は室内長2690mm×室内幅1540mm×室内高1250mm。一方、ZR-V(RZ系)は室内長1930mm×室内幅1530mm×室内高1195mmとなる。室内長は760mm、室内幅は10mm、室内高は55mm、いずれもCX-8が上回っている。特に室内長の差は顕著で、このゆとりが3列シートレイアウトを可能にしている。ボディサイズの差を考えれば、当然の結果といえる。
ただし、3列シートを備えるCX-8でも、ミニバンのような余裕ある3列目スペースを期待するのは難しい。足元や頭上空間はタイトで、大人2名が長距離を快適に移動できるというタイプではない。あくまで短距離移動や緊急用と割り切るのが現実的だ。
ラゲッジ容量を5人乗車時(CX-8は3列目格納時)で比較すると、CX-8は563~591Lと大容量。対するZR-Vは395~408Lで、CX-8が大きく上回る。またCX-8は、3列目シート使用時でも230Lの荷室容量を確保しており、3列SUVとしての実用性は高い。
■CX-8が2022年大幅アップデートモデルなら、両車ほぼ互角の安全性能
▽6.安全装備&運転支援機能の比較
・CX-8(KG系)の評価は4.0
・ZR-V(RZ系)の評価は4.0
CX-8、ZR-Vともに、運転支援機能を含めた予防安全装備は充実しており、衝突被害軽減ブレーキなどの基本機能は標準装備。安全性能は概ね互角といえる。
CX-8は、衝突被害軽減ブレーキ「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」をはじめ、ブラインド・スポット・モニタリング、車線逸脱警報システムなどを全車標準装備している。
さらにスマートエディション以上では、スマート・ブレーキ・サポートやマツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)、アダプティブ・LED・ヘッドライト、360°ビューモニター+フロントパーキングセンサー、レーンキープ・アシスト・システム、交通標識認識システムなどが標準装備となる。
加えて、スポーツアピアランスおよびエクスクルーシブモードには、渋滞時の運転支援を行うクルージング&トラフィック・サポート(CTS)も標準装備される。そのため、CX-8(KG系)を選ぶのであれば上級グレードが狙い目だ。特にスタンダードグレードとスマートエディションでは装備差が大きいため、購入時はスマートエディション以上を選びたい。
一方、2023年に登場したZR-Vは、16の機能をパッケージ化した安全運転支援システム「Honda SENSING」を全グレードに標準装備している。
フロントワイドビューカメラは約100度の有効水平画角を持つ広角カメラと高速画像処理チップにより、対象物の検知精度を向上。また、前後バンパーに4カ所ずつ設置されたソナーセンサーが近距離の外壁やガラスなどを高精度で検知し、踏み間違いによる誤発進抑制や衝突回避をサポートする。
総合的に見ると、CX-8はグレードによる装備差が大きいのに対し、ZR-Vは全車標準装備が充実している点が特徴といえる。
■大らかな乗り味のCX-8と俊敏でスポーティなZR-V
▽7.走行性能の比較
・CX-8(KG系)の評価は4.0
・ZR-V(RZ系)の評価は4.0
CX-8(KG系)のパワートレインの最高出力、最大トルクと車両重量は以下のとおり。
・2.5L直4エンジン:190ps/252N・m
・2.5L直4ターボエンジン:230ps/420N・m
・2.2L直4ディーゼルターボエンジン:200ps/450N・m
※車両重量:1730~1920kg
ZR-V(RZ系)のパワートレインの最高出力、最大トルクと車両重量は以下のとおり。
・1.5L直4ガソリンターボエンジン:178ps/240Nm
・2.0L e:HEV:141ps/182Nm(エンジン)、184ps/315Nm(モーター)
※車両重量:1460~1630kg
▽CX-8はマツダらしい人馬一体の運転フィールは健在
CX-8は、フラッグシップSUVという位置付けもあり、高級車のようにフラットで快適な乗り心地が特徴だ。2930mmのロングホイールベースにより直進安定性に優れ、クルーザーのように穏やかな乗り味を実現している。
一方で、マツダ車の持ち味である“人馬一体”の感覚も失っていない。シャープさ一辺倒のハンドリングではないものの、ドライバーがステアリングを切った分だけ素直に反応し、正確に曲がる。全長4925mmのFF(前輪駆動)ベース大型SUVとは思えない自然な身のこなしだ。
さらに、加速時や減速時に発生しがちな前後方向のピッチングは巧みに抑えられており、無駄な揺れが少ない。長距離移動でも疲労が蓄積しにくい点も大きな魅力だ。これらの安定した挙動は、マツダの車両制御技術「G-ベクタリング コントロール プラス(GVCプラス)」の効果によるところが大きい。
人気の高い2.2L直列4気筒ディーゼルターボ+6速ATのパワートレインも、いまなお高い実力を誇る。最大トルク450N・mを低回転域から発生するため、車両重量のあるCX-8でも余裕ある加速が可能だ。特に高速クルージングではディーゼルの特性が活き、エンジン回転数を抑えたままスムーズに巡航できる。
走行状況や運転スタイルによっては、カタログ燃費を上回る実燃費を記録するケースもある。力強さと燃費性能を高いレベルで両立している点から、CX-8では最もおすすめしやすいエンジンといえる。
▽ZR-Vは背の高いSUVであることを感じさせない軽快でスポーティな走り
ZR-Vのハイブリッドモデル「e:HEV」は、2.0Lエンジンに発電用モーターと駆動用モーターを組み合わせた2モーター式ハイブリッドだ。基本はエンジンを発電用として使用するシリーズハイブリッド方式を採用している。
ただし、高速道路などでエンジン負荷が低く、モーター走行よりもエンジン直結のほうが効率的だとコンピュータが判断した場合には「エンジン直結モード」に切り替わる。この点は、同じシリーズ方式を採用する日産のe-POWERとは異なる特徴だ(e-POWERは基本的にエンジン直結を持たない)。
ZR-Vに搭載されるe:HEVは、従来型に比べて市街地でのモーター走行領域を約20%拡大。基本的にモーター主体で走行するため、ガソリン車よりアクセル操作に対するレスポンスに優れ、発進から中速域まで力強くスムーズな加速を味わえる。高速道路でも山道でも、気持ちの良いドライビングフィールを提供してくれる。
ZR-Vのもうひとつの魅力は、優れたハンドリング性能と快適な乗り心地の両立だ。ドライバーのステアリング操作に対して素早く正確に反応し、狙ったラインをトレースしやすい。この操縦安定性は、国産ミドルサイズSUVの中でもトップレベルといえる。背の高いSUVとは思えない機敏さを持ちながら、足まわりはしなやかで快適性も高い。
一方、CX-8とZR-Vでは走りのキャラクターが大きく異なる。CX-8は高速道路主体のロングドライブを得意とするクルーザータイプ。対してZR-Vは、ワインディングロードなどを軽快に走る楽しさを重視したモデルだ。そのため、購入前にはじっくり試乗し、自身の使用環境や好みに合ったモデルを選ぶことが重要となる。
なお、悪路走破性の目安となる最低地上高は、CX-8が200mm、ZR-Vが190mm。いずれも都市型SUVとしては十分な数値を確保している。
■新車販売低迷が影響か? リセールバリューは弱含みのZR-V
▽8.リセールバリュー比較
・CX-8(KG系)の評価は4.0
・ZR-V(RZ系)の評価は3.5
CX-8(KG系)とZR-V(RZ系)の中古車相場は以下の通り。
※中古車相場は、2026年2月調べ。
【マツダCX-8(KG系) スポーツアピアランス 2WD】
・中古車相場:2023年式370万円~400万円
・当時の新車価格比:約84~91%
【ホンダZR-V(RZ系)e:HEV Z(FF)】
・中古車相場2023年式:約290~360万円
・当時の新車価格比:約74~92%
両車とも、3年落ち(2026年時点)となる2023年式の中古車価格は、新車価格比で高値を維持している。このことからも、CX-8、ZR-Vともに高いリセールバリューを保っていることが分かる。
CX-8は、後継モデルであるCX-80の登場により、中古車相場が徐々に下落すると予想されていた。しかし、CX-80の販売がやや伸び悩んでいる影響もあってか、CX-8の中古車相場は大きく崩れていないのが現状だ。今後の動向には不透明感もあるが、人気の高い3列シートSUVであることを考えれば、急激な値崩れの可能性は低いとみられる。安心して選びやすい中古SUVの1台といえるだろう。
一方、ZR-Vの中古車相場も全体的に高値維持傾向にある。高価格帯の車両は新車価格と大きく変わらない水準で流通しており、やや強気の価格設定が目立つ。
その一方で、価格の低い個体では新車価格比が70%台まで下がっているケースも見られる。70%台まで落ちれば、中古SUVとしては買い得感が出てくる水準だ。ただし、リセールバリューという観点ではやや不安材料ともいえる。
ZR-Vの2025年販売台数は約2万台で、前年比49.1%と大きく減少した。こうした新車販売動向は中古車相場にも影響を与える傾向がある。今後も新車販売が低迷すれば、ZR-Vのリセールバリューは徐々に低下する可能性があるだろう。
■使い勝手とスペース重視ならCX-8。燃費とスポーティな走りならZR-V
▽9.まとめ・総合評価
CX-8は、ZR-Vに比べてボディサイズが1クラス以上大きく、3列シート仕様となっている。そのため、室内や荷室の広さを重視し、「6人以上乗れるSUVが欲しい」と考えているのであれば、CX-8がおすすめだ。
しかも、CX-8はマツダのフラッグシップSUVとして販売されていたモデル。内外装の質感も高く、走行性能もZR-Vと同等レベルにある。そうしたモデルが中古車であれば、新車ZR-Vとほぼ同等の予算で手に入る点は大きな魅力だ。予算ベースでクルマ選びをする場合、中古車を視野に入れることで選択肢が大きく広がるのは間違いない。
一方で、CX-8の全長4925mmというサイズは、人によっては大きすぎると感じるだろう。狭い駐車場などでの扱いやすさの目安となる最小回転半径は、CX-8が5.8m、ZR-Vが5.5m。取り回しのしやすさという観点では、ZR-Vに軍配が上がる。
また、燃費を最優先に考えるのであれば、ZR-Vのハイブリッドモデル「e:HEV」が有力な選択肢となる。日常使い中心でランニングコストを抑えたいユーザーには、より適したモデルといえるだろう。
(まいどなニュース/norico)























