熊本市内で唯一、猫と暮らせる物件を専門に仲介している不動産会社「株式会社 ネコ不動産」。代表取締役で愛猫家の鶴上万里生さん(32)は「ゆふ(オス、推定5歳)」と「いぐさ(オス、推定6歳)」(いずれも保護猫)の2匹を飼っており、事務所ではいぐさが看板猫を務め、お客さんを癒している。「熊本では猫飼育可の賃貸物件は全体の6.7%ほど。猫が飼える物件を増やして保護猫を引き取りやすくし、猫と人がともに幸せに暮らせるまちにしたい」と意気込む鶴上さんに、2匹との出会いや、熊本のペット飼育可物件事情などについて話を聞いた。
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鶴上さん:いぐさは2年前、熊本県の動物愛護センターから引き取った子。八代の多頭飼育崩壊現場から救い出された約40匹のうちの1匹です。出会った瞬間、妻がこの子にビビッときて家族に迎えました。アメリカンショートヘアとラグドールのミックスと思われます。
幼いころから、祖父母の家にはいつも猫がいて大好きでした。高校の時、母親が保護施設から引き取った保護猫を実家で飼ったのがきっかけで、引き取り手のない野良猫が殺処分される現実を知りました。そのころから、不幸な猫を減らし、人と猫がともに幸せになるために、自分にも何かできることがあるんじゃないかと思うようになりました。
高校卒業後、大分の化学系の会社を経て、猫と不動産を掛け合わせた仕事をいつか自分でやりたいと思い、大分県由布市にある不動産会社に転職しました。そのころ出会ったのが、今は自宅で飼っている「ゆふ」(オス、推定5歳)です。
ゆふは、近所のおばあさんが拾ってきた子。おばあさんは高齢で飼うことができず、当時一人暮らしをしていた私が引き取り、生まれて初めて飼った猫です。当時住んでいた会社の寮は元々ペット不可物件だったのですが、会社の会長に事情を説明すると「それなら飼っていいよ」と。そのとき、物件オーナーの理解があればペット飼育可能な物件って増やせるんだと思ったんですよね。
ゆふと一緒に暮らすようになって、仕事で疲れたときもそばで癒してくれますし、猫と暮らせる喜びを身にしみて感じました。全国的にそうだと思いますが、猫飼育可の賃貸物件って熊本も少ないんです。そこで、猫を飼いたい人と猫を飼ってもいいという大家さんとをつなげる仕事をするため独立し、2024年8月8日(世界猫の日)に「株式会社 ネコ不動産」を設立しました。ちなみに、ゆふは自宅にいて、会社にはめったに来ませんが。
熊本市内には賃貸物件が約4500棟ありますが、そのうちペット飼育可は約750棟、さらにそのうち猫の飼育が可能なのは300棟程度。ペット可であっても猫は不可というところや、1、2匹はいいけど3匹以上はだめ、というところも少なくありません。猫飼育可物件が少ない理由は、柱や壁などで爪を研いで傷つける、スプレー臭、多頭飼育崩壊につながる恐れ、などが挙げられます。
飼い主さんに対しては適正飼育を促す一方、ペット可物件の大家さんに対しては、猫も飼育OKにしてもらう交渉をするなどして、猫飼育可物件を増やす試みをしています。
なかなか希望の物件が見つからない方も、ここでいぐさの接客を受けると、暗い顔が笑顔になり「いい物件が見つかるまで粘り強くがんばります」と言われたり、無事に物件が見つかった方からは「ありがとうね」と、いぐさに会いに来られたり。いぐさは初対面では少し警戒しますが、その人が猫好きとわかると近づいていって甘えます。好奇心旺盛で、人になでられるのが好きなんです。
私にとっていぐさは、パソコンの上にのってきたりしていつも仕事の邪魔をしますけど、可愛い社長秘書みたいな存在です(笑)。猫が飼える物件が増えれば、保護猫を引き取りやすくなり、幸せになれる猫や人がもっと増えるはず。熊本が「待機保護猫ゼロ」になるよう、これからもいぐさとともに頑張ります。
(まいどなニュース特約・西松 宏)























