散歩に連れて行かずふん尿の上で6年間、餌をもらっていただけだったというネグレクト犬を保護(「動物愛護ボランティアあめねこ」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)
散歩に連れて行かずふん尿の上で6年間、餌をもらっていただけだったというネグレクト犬を保護(「動物愛護ボランティアあめねこ」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

「顔が見えないほど毛が伸び、強い悪臭がした。しっぽも振らなかったんです」

そんな状態で保護された1匹の犬の姿が、多くの人の胸を締め付けています。

Instagramに投稿したのは、佐賀県で活動する「動物愛護ボランティアあめねこ」(@ameneko612)さんです。

投稿されたのは、シーズー系のミックス犬「るりちゃん」の保護時の様子。長年にわたり散歩にも連れて行ってもらえず、ふん尿が積もった場所で暮らしていたといいます。

■遠方の保健所から届いた相談

るりちゃんとの出会いは、同じ県内の遠方にある動物管理センターからの相談がきっかけでした。

「一人暮らしのお年寄りの家にいる犬を何とかできないか」

そうした連絡を受けて状況を確認したところ、犬は約6年前に誰かが連れてきたとみられる繁殖引退犬だったそうです。しかし飼い主は犬に関心を示さず、散歩にも連れて行かない状態が続いていました。

「外にいる猫の方がかわいいから、犬はどうでもいいというような状況だったそうです」

見かねたセンター職員が、相談を持ちかけたといいます。

■顔も見えず、表情も分からない状態

実際に会ったるりちゃんは、想像以上に深刻な状態でした。

「顔が見えないほど毛が伸びていて、表情が全く分かりませんでした。とにかく臭いもひどかったです」

長期間手入れされていなかった被毛はもつれ、全身から強い臭いが漂っていたそうです。

さらに、しっぽを振ることもなく、人への反応もほとんどありませんでした。病院へ連れて行った際も暴れたり抵抗したりすることはなく、ただ静かにしていたといいます。

「おとなしい子でした。でも、ずっとそんな環境で生きてきたのだと思うと、胸が苦しくなりました」

保護当初はケージの扉を開けても自分から出てこず、外へ連れ出してみると震えながら動けなくなってしまったそうです。トイレも、ケージの中で済ませる状態でした。

その姿を見て、投稿者さんは「もしかしたら外の世界を知らないのかもしれない」と感じたといいます。

■少しずつ見せ始めた“本来の姿”

その後、トリミングで毛をカットし、見違えるほどきれいな姿になったるりちゃん。しかし、すぐに表情が戻ったわけではありませんでした。

「カットした直後も無表情でした」

ところが数日が経つと、少しずつ変化が現れ始めます。

「しっぽを振るようになり、甘えてきてくれるようになりました」

これまで見せなかった感情が、少しずつ表に出るようになったのです。

投稿には、「涙が出ました」「楽しい犬生を」「これからは幸せだけを感じてほしい」「助けてもらえて本当によかった」「しっぽを振れるようになったのがうれしい」といった声が数多く寄せられました。

■「またつらい思いをさせたくない」

現在、るりちゃんは新しい家族を探すことも視野に入れているそうです。ただ、投稿者さんの心には複雑な思いがあります。

「あれだけの環境にいたこの子を、また一から本当に信頼できる人へ託せるのか。自分でも自信がないような感情になります」

保護活動を続ける中で、これまでにも虐待やネグレクトの現場から、多くの動物を引き取ってきました。

肋骨が折れたまま固まっていた犬。

何年もつながれ続けて歩けなくなった犬。

毛が固まり、まるで亀の甲羅のようになっていた猫。

「何度も泣きました。この子たちの前では泣いてはいけないと思いながらも、涙が出ました」

そう振り返ります。そして今回、るりちゃんについてはこう語りました。

「6年もかかりましたが、この子はラッキーだったと思います。気にかけてもらえて、私のところに話がきたことで自由になれました」

その一方で、今も同じような環境で苦しむ動物たちがいる現実に、複雑な思いを抱いています。

「人間のせいで苦しむ動物を、たくさん見てきました。本当に法律を変えなければいけないと思います」

るりちゃんが見せ始めた小さなしっぽの動き。その姿は、多くの人に動物たちの現実を考えるきっかけを与えているようです。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)