おじぎの角度などの細かなマナーは気にしないで(吉谷光平さん提供)
おじぎの角度などの細かなマナーは気にしないで(吉谷光平さん提供)

就職活動では、自己PRや志望動機だけでなく、マナーや立ち居振る舞いまで徹底して注意する人は多いでしょう。「正しい自分」を演じるべきなのか、それとも「素直な自分」を見せるべきなのかという悩みを抱えてしまうものです。吉谷光平さんの作品『怖そうな課長が就活生にひとこと言う話』は、そんな就活生の不安に寄り添うメッセージが描かれています。

物語は、主人公・麦田が会社説明会に参加する場面から始まります。麦田は、就活生を見て自身の就職活動時代を懐かしく思い出していました。会場では、就活生たちが緊張した面持ちでマナーやお辞儀の角度を確認し合っています。

そんな中、「ったく今どきの若いモンは」と言いながら現れたのは、麦田の上司で見た目が怖そうな課長でした。その威圧感に、就活生たちは「何かマナーを間違えてしまったのでは」と一気に身構えます。しかし課長の口から出たのは、意外にも「そんなマナー、私も知らないので気にしないでください」という優しい言葉でした。

もちろん社会人としてマナーが必要な場面はあるものの、就職活動において本当に大切なのはそこだけではありません。課長は、「無理して作った自分」と「ありのままの自分」、どちらを選んでくれた会社で働きたいですか?と問いかけます。そして「私は多少不格好でも、本音で熱意を伝えてくれる人と一緒に働きたいです」と語ります。その言葉に、就活生も麦田も思わず感動。就活において完璧さばかりを求めるのではなく、自分らしさを大切にすることの重要性が胸に響いたのでした。

同作について、作者の吉谷光平さんに詳しく話を聞きました。

■美談のみだと納得がいかない

ー吉谷さん自身は“就活マナー”と“本音や熱意”どちらが大事だと思われますか?

つまらない答えですが、どちらも大切かと思います。

ー「無理して作った自分」と「ありのままの自分」という対比を描いた背景に、何か意図がありましたか?

就活ではその2つがよく話題に上ると思ったからです。

ー課長の美談で終わらず、あえて恵比寿課長の意見を入れたワケはありますか?

美談のみだと納得がいかないと思ったからです。どちらの視点も大切だと思います。

(海川 まこと/漫画収集家)