人生のさまざまな場面には、多くの困難が待ち受けています。そんなときに、もし未来の自分が見守ってくれているとしたら、どんなに心強いことでしょう。漫画家・倫理子さんの作品『未来ちゃんには無理だよ』の抜粋エピソード『真夏の夜の夢』では、中学生の思いがけない出会いが描かれています。
ある日、15歳の少女・真夏の携帯電話のもとに、知らないアドレスからファミレスに集合をうながすメールが届きました。真夏は怪しみつつも集合場所に向かうと、そこには見知らぬ女性2人が真夏のことを待っていたのです。
彼女らの正体は、なんと25歳と35歳の真夏自身でした。彼女らとの会話を楽しんでいると、35歳の真夏から「今野くんとはどこまで行った?」と尋ねられます。今野とは、15歳の真夏が恋心を抱いている男子です。彼女らの質問に、15歳の真夏は思わず「なんで知ってるの!?」と逆上してしまいますが、実は1回だけ今野と一緒に帰ってキスをしました。
15歳の真夏は「付き合うってなに?」と質問しますが、年上の真夏たちからは「考えるな!感じろ!」と真面目な返答は返ってきません。また15歳の真夏は、付き合っていない人の家に行っていいのか真剣に悩んでいました。そんな彼女に、年上の真夏たちは「自分のしたいようにすればいい」「そんで自分のしたくないことはしない」とアドバイスをします。
今まで15歳の真夏は、人の気持ちに応えることが大人になることだと思っていました。しかし年上の真夏たちから、「自分の味方は自分しかいない」「自分のことは自分が一番大切にしないとね!」と言われた真夏は、少し前向きな気分になるのでした。
その後、なぜ2人の真夏が会いに来てくれたのか聞いたとき、ふと15歳の真夏は自宅で目を覚まします。真夏は、これは夢だったのだろうかと考えながら中学校へと登校しました。今野から家に遊びに来るかどうか尋ねられていた真夏は、意を決して付き合ってほしいと打ち明けます。そして2人は、手をつないで下校するのでした。
中学生の恋心を描いた同作について、作者の倫理子さんに話を聞きました。
■自分が14、15歳くらいのころに悩んだことが多かったことがきっかけ
-それぞれの年齢の自分が集う物語を描いたきっかけについて教えてください
14、15歳くらいのころ、実際に恋愛に悩んだり、学校に行けなくなったり、漫画家を志すようになったりと今の自分につながる転機のような出来事が多かったので、年齢を重ねてそのころの私に教えてあげたい出来事が起こるようになったときに、いつかこんな話が書きたいなと思うようになりました。
意志強ナツ子先生の作話講座で教えて頂いた30分作話というトレーニングを講座を修了した後も続けており、「ファミレスに集合しておしゃべりする話」というお題をもらった時に、異なるキャラクター同士の会話ではなく全部自分にしてしまおう!と思いついてこの話が生まれました。
-同作でお気に入りのシーンやコマはありますか?
見開きのシーンは印象的な場面が描けたので、我ながら見どころかなと思っています。15歳の真夏へのエールと合わせて、大人の2人の細かい掛け合いも楽しんでいただきたいです。
-25歳と35歳の真夏についても気になる展開でした!
15歳編は恋愛にフォーカスしましたが、25歳編、35歳編とそれぞれ女性が行き当たるテーマを描いています。読んでくださった皆さまが“あるある~”と共感してくれたり、逆に“自分の場合はこうだった“などたくさん想いがあふれる作品になっていたら嬉しいです。
また、同じ単行本に収録されている「未来ちゃんには無理だよ」シリーズも、「真夏の夜の夢」に込めたメッセージと通じるところがあると思うので、ぜひ一冊まるごとお楽しみ頂ければと思います!
(海川 まこと/漫画収集家)
























