新幹線の床に込められた床材メーカーの創意工夫がSNS上で大きな注目を集めている。「新幹線の床にビールがこぼれて鞄が汚れて損害賠償が云々。そんな話が流れていますが、ちゃんとN700Sでは対応されているんですよ… 座席の下に溝を作り液体の前後漏れを防いでいるのです。塩ビの一体型の床で、この溝をつくるのは、結構技術的に難しかったそうです。ロンシール工業さんの床材ですね」とその模様を紹介したのは高速鉄道専門紙「新幹線EX」(イカロス出版)のXアカウント(@shinkansenex)。
ロンシール工業(東京都港区)とは軟質塩化ビニール製品などを生産する老舗化学メーカーで、その高い技術から新幹線の床材にはその開業当時からすべて同社の製品が用いられている。デザイン性や安全性だけでなく、「飲料のこぼれ」のようにどうしようもない現象すら床材への工夫でカバーしようという「ジャパンクオリティ」の精神には驚かされるばかりだ。
イカロス出版株式会社で鉄道ムック・書籍担当編集長を務める上野弘介さんに話を聞いた。
ーーこの仕様をお知りになった際のご感想は。
上野:新幹線は見えないところでさまざまな旅客への配慮がされている乗り物です。いかにも日本らしいところだと思っています。また、床材に溝をつけるという、一見簡単そうなことでも、きれいに仕上げるには相当な技術がいるということを知り、驚きました。
ロンシール工業さんは、失礼ながら一般には名前はあまり知られていませんが、足元から日本の鉄道を支える優良な技術を持った会社ということを、改めて認識しました。
ーーご投稿に対し大きな反響がありました。
上野:この床材も、JR東海さん、日本車両さん、ロンシール工業さんの技術者が、人知れず研究を重ねた結果のものです。そういった方たちの知られざる努力の結果を、多くの方に知っていただけたのは、担当編集者としてとてもうれしいことです。
◇ ◇
SNSユーザーたちから
「中々考えられたギミックですね。 他にN700Sの壁面窓下に線状の模様があり、靴や鞄などで付く擦り傷のカモフラージュしてるのも感心しました。 新幹線は人間が移動する上で発生させることに対して自然に対応させているのが素晴らしいです」
「うちの病院でもロンシール工業 ロンリウムサハラを使っていました。潰れあずきのような味わいで気に入っていたのですが30年経っても損傷なく使えた耐久性はすごかったです」
「ロンシール工業さんの特許調べて見たらありました!
特許6983022
【発明の名称】
鉄道車両用床材
【特許権者】
東海旅客鉄道株式会社,日本車輌製造株式会社,ロンシール工業株式会社
【要約】【課題】
床面上にこぼれた液体が拡散することを抑えることができ、床材の施工後に床材表面に堰となる凸状部などの特別な部材を設けることなく、施工および保管運搬が容易な鉄道車両用床材を提供する。
【解決手段】
鉄道車両用床材は、床材の表面の一部に周囲を閉じた凹状に設けられた複数の帯状へこみ部を備え、複数の前記帯状へこみ部が連続して配置され一群の帯状へこみ群が形成されている」
など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。
現在「新幹線EX」は定期刊行を休止しているが、今回紹介したような高速鉄道関連の技術や歴史は、イカロス出版の専門MOOK・書籍で引き続き紹介していくそう。また同社では鉄道専門のnote「RAIL IKALOS イカロス出版鉄道チーム」も運営しているので、ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)
























