子どもと暮らすひとり親家庭※画像はイメージです(TAGSTOCK2/stock.adobe.com)
子どもと暮らすひとり親家庭※画像はイメージです(TAGSTOCK2/stock.adobe.com)

「収入があるからどうせもらえない」--そう思い込み、児童扶養手当の申請を諦めていた由香さん(38歳・仮名)。離婚後、小学生の子どもと2人で暮らしながら、平日はパート、夜や休日は在宅の副業を続けていました。年収は約350万円ありましたが、知人に背中を押されて市役所に相談したところ、一部支給に該当する可能性があることが分かりました。

児童扶養手当は、父母の離婚や死亡、一定の障害などにより、父または母と生計を同じくしていない子どもを養育する家庭などを支える制度です。所得額に応じて全部支給・一部支給・支給停止に分かれます。2024年11月分から所得制限限度額が引き上げられ、以前は対象外だった世帯も受給できる可能性があります。

■ひとり親家庭の経済状況--働いていても余裕があるとは限らない

厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、2020年の母子世帯の母本人の平均年間収入は272万円、平均年間就労収入は236万円でした。働いていても、家計に余裕があるとは限りません。

また、厚生労働省の2022年国民生活基礎調査では、2021年の「子どもがいる現役世帯」のうち、大人が一人の世帯の相対的貧困率は44.5%でした。子どものいる現役世帯全体の10.6%、大人が二人以上の世帯の8.6%と比べても高い水準です。

■「年収があるから無理」とは限らない理由

児童扶養手当の対象は、原則として18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもです。一定の障害がある場合は20歳未満まで対象になります。支給は年6回で、原則として2カ月分ずつ振り込まれます。

こども家庭庁資料によると、2026年4月以降の児童扶養手当は、子ども1人の場合、支給区分によって次のように分かれます。
【全部支給】月額4万8050円
【一部支給】月額4万8040円~1万1340円

子ども1人を養育している場合、2024年11月分から、全部支給の収入目安は190万円、一部支給の収入目安は385万円に引き上げられました。由香さんの年収約350万円は、この一部支給の収入目安を下回っています。

ただし、これはあくまで収入の目安です。実際の判定では、給与所得控除後の金額から社会保険料相当額や各種控除を差し引きます。さらに、元配偶者から養育費を受け取っている場合は、その8割相当を加算したものを「所得」として確認します。

そのため、年収だけで受給の可否を判断することはできません。源泉徴収票や給与明細、養育費の受け取り状況、控除に関わる情報を整理したうえで、市区町村の児童扶養手当窓口で確認するとよいでしょう。

■自治体独自の支援も確認する

国の児童扶養手当に加え、自治体独自の支援が使える場合があります。たとえば東京都には、ひとり親家庭などを対象とした児童育成手当があります。育成手当は、対象児童1人につき月額1万3500円です。支給対象や所得制限、支給月は自治体の規定で確認が必要です。

ひとり親家庭等医療費助成制度、学童保育料の減免、食料支援なども、地域によって利用条件が異なります。相談先は、市区町村の児童扶養手当窓口や子育て支援課です。

◇  ◇

児童扶養手当は、原則として申請しなければ受け取れない制度です。由香さんも、年収だけを見て「自分は対象外」と思い込んでいましたが、市役所で確認したことで一部支給に該当する可能性があると分かりました。

夏休み前は、食費や学童保育料、光熱費の負担が増えやすい時期です。以前に対象外と言われた人も、現在の所得制限や控除の状況によって結果が変わる場合があります。年収だけで諦めず、市区町村の児童扶養手当窓口で対象になる可能性を確認してください。

【出典】
こども家庭庁「児童扶養手当について」
東京都福祉局「児童育成手当」

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士、身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)