■「そこまで学校が対応するの?」と思わず耳を疑った質問
東京都在住のEさん(30代)は、小学5年生の子どもが初めて参加する2泊3日の宿泊学習を前に、学校で開かれた保護者説明会へ参加しました。
宿泊先での生活や持ち物、体調不良時の対応などについて先生から説明があり、保護者たちは資料に目を通しながら熱心に耳を傾けていました。
ところが、質疑応答が始まると、Eさんは思わず顔を上げます。
「うちの子は髪が長く、自分では乾かせません。先生に手伝っていただけますか」
そんな質問をきっかけに、「夜になって寂しくなったら親と電話できますか」「普段使っている枕を持参してもいいですか」といった声が続きました。
さらに、「朝は家でも起きられないので先生が起こしてくれますか」「歯磨きの確認をお願いできますか」 との質問まで上がり、教室には少し戸惑ったような空気が流れます。
先生は一つひとつ丁寧に答えていましたが、その様子を見ながらEさんは「そこまで学校が対応するものなのだろうか」と首をかしげました。
■親として理解できる気持ちと、拭えない違和感
もちろん、Eさん自身も不安がなかったわけではありません。
忘れ物がないよう何度も荷物を確認し、「困ったら先生や友達に相談するんだよ」と子どもに声を掛けました。初めて親元を離れるのですから、心配する気持ちは理解できます。
それでも、「宿泊学習は親がいない環境で過ごすこと自体が大切な経験なのではないか」と感じました。
一人ひとりの生活習慣に合わせて学校が対応していけば、先生方の負担は大きくなります。集団生活だからこそ、自分で工夫したり、友達と助け合ったりする場面もあるはずです。
■説明会の帰り道で残った疑問
説明会を終えた帰り道も、Eさんの頭には保護者たちの質問が残っていました。
もちろん、持病や発達特性など、個別の配慮が必要な子どももいます。一方で、「家ではこうだから」という理由まで学校に求めるようになると、学校に求めることの線引きは難しくなります。
宿泊学習では、少し眠れなかったり、少し不自由に感じる場面もあるでしょう。 それでも友達と協力しながら過ごした時間は、子どもにとって忘れられない経験になるはずです。
説明会で交わされた質問を思い返しながら、Eさんは宿泊学習から帰ってきた子どもがどんな話を聞かせてくれるのか、少し楽しみにしていました。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
























