余生の過ごし方は人それぞれですが、たとえ独り身であっても選択によってはよい余生となるでしょう。ヘケメデさんの作品『古森さんの余生』では、独身女性2人の人生の選択が描かれています。同作は『同姓の同性と偽装夫婦をする話』としてX(旧Twitter)に投稿されると、約9300のいいねが寄せられました。
とある会社に勤めている女性・古森青生(あお)は、上司・古森朝子と同じ苗字だと話がはずみます。とはいえ特段仲良くなるわけではなく、何年もただの同僚として時は流れました。そんなある日、青生は朝子から居酒屋へと誘われます。
そこで朝子から、突然「定年後もしよかったら偽装夫婦をやらないかい?」と告げられたのです。青生は最初は冗談だと思いますが、朝子は本当にそう考えているようでした。なぜ朝子が偽装夫婦を考えたかというと、いままで朝子は会社の飲み会では社交を重んじて下戸に徹していました。
しかし青生は、いつも我関せずおいしそうに飲み食いしていたため、朝子は好ましいと思っていたのです。この場においては、「老後まで先は長いし」と偽装結婚の話はひとまず保留となりました。帰宅後、青生はまだ先だと思っていた老後の話でしたが、自分のおばさんのような手をみて将来を考えます。
青生は結婚をしておらず、一人っ子だったため身寄りもありません。とはいえ朝子も青生も女性同士であるため、どうやって偽装結婚するのか、もしかするとよからぬことに巻き込まれるのではないかと不安になりました。そこで青生は、休憩中に朝子がやりたい偽装結婚について尋ねてみます。
実は朝子は父方の祖父に顔がそっくりなため、老後はお爺さんのような見た目になると考えているようです。青生は思い切って「それって一体なんになるんですか?」と踏み込みますが、朝子は「なぁんにもならないよ」と答えます。
朝子は今まで、主任職としてずっと大真面目に生きてきました。しかし本当は愉快なことが好きな朝子は、余生は花柄のシャツを着た陽気なお爺さんになりきって、ふざけて過ごしたいと願っているようです。「あなたとだったら余生も面白そう」と告げた朝子。青生は、いつか花柄のシャツを着た『お爺さん』の彼女に「ほらやっぱり似合うわよ」と伝えてあげたいと思ったのでした。
それから時は流れ、とあるお宅に来訪者がやってきます。新たに引っ越してきたという2人は、隣人に挨拶の贈り物を渡しました。隣人が「感じのいいご夫婦だったわ」と話すその正体は、古森『夫婦』だったのです。
読者からは「心があったかくなった」「2人の余生も気になる!」などの声が寄せられています。そこで、作者のヘケメデさんに話を聞きました。
■単調な会話劇にならないように意識した
-同作を描いたきっかけについて教えてください
note創作大賞2026に応募しようと思ったのがきっかけです。断片的に描いていた過去作を練り直し、描き下ろしました。
-2人のやり取りがとてもユニークでしたが、作品を創るうえで意識したことはありますか?
出来事として派手なことが何も起こらない話なので、とにかく単調な会話劇にならないよう、なんとか最後まで読んでいただけるように出来る工夫を精一杯凝らしました。
-古森夫婦の今後が気になる展開でした!
そう言っていただけると本当に励みになります。ベストは商業作品として書籍になるように続きを描けることなので、コンテストの結果を祈って待ちます。また、想定以上に沢山の方に読んでいただけたので、ささやかですがおまけの漫画も公開しております。よろしければそちらもお楽しみいただけたら幸いです。
(海川 まこと/漫画収集家)
























