生きていると大変なこともあります。しかし周りに目を向ければ、あちこちに小さな幸せが転がっているものです。
漫画家・枇杷かな子さんの作品『今日もまだお母さんに会いたい』からの抜粋エピソード『美味しい餃子を食べて泣いた日』では、作者が母の病と向き合う中で、身近にあるささやかな幸せに気づいたエピソードが描かれています。
作者はある日、友人と一緒にランチに出かけた餃子屋で思わず涙してしまいます。その涙の理由には、作者が癌になった母と過ごす中で、人生が有限であると実感していたことが関係していました。
好きな友人と過ごす時間や、おいしい餃子屋に出会えたことは奇跡のように幸せなことなのだと気づき、涙があふれてしまったのです。
2人は餃子屋を出た後、緑豊かな道を散歩しました。木の下のベンチで休憩しながらふと上を見ると、葉っぱの隙間から降り注ぐ光がゆらゆらと揺れています。さらに地面に目をやると、木漏れ日が水面のように揺らめき、まるで海の中にいるようでした。
作者は目の前の美しい光景に目を潤ませながら、木々のにおいを胸いっぱいに吸い込み、木漏れ日の海を満喫するのでした。
読者からは「胸に沁みた」「泣きそうになりました」などのコメントが寄せられました。そこで同作について、作者の枇杷かな子さんに話を聞きました。
■日々の隅々に奇跡のように美しいものが転がっている
-このエピソードを描こうと思った理由を教えてください。
母の病気を知らされて心配や不安な気持ちを感じながらも、こういうささやかな楽しさや美しいことは、生きているから感じられることだと思うようになりました。このエッセイは、この気持ちを残したいと思って描いたものです。
親友のよっちゃんと出会えたことも人生の宝物だな!と思っているので、彼女といる時間の素晴らしさも描きたかったんだと思います。
-餃子は思い入れのある料理なのですか?
餃子は大好きです!このよっちゃんと行ったお店は、実は母と何度も行っていたお店でした。
このエッセイを描いた頃はまだ母が生きていたので、そこまで思い入れあるお店ではありませんでしたが、今では行ったら泣いてしまいそうになるお店のひとつです。
-同作はどんな人に読んでほしいと考えますか?
何もできないほど落ち込む日もあるけれど、日々の隅々に奇跡のように美しいものが転がっているなと思います。
母が病気で亡くなり、喪失感を抱えながら過ごした日々を『今日もまだお母さんに会いたい』というエッセイ漫画本にしました。悲しみだけでなく、読んだ方にあたたかなものが残る本になれたらと感じております。もし、今必要かもしれないなと感じた方がいたら、読んでいただけたら嬉しいです。
(海川 まこと/漫画収集家)
























