いくら夫が「俺はイクメンだ」と思い込んでいても、妻からは「気が向いたときにやっているだけ」「むしろ迷惑」と冷たい視線を向けられている男性は少なくありません。
このような自称イクメンと妻の間にある意識のズレは、なぜ生じてしまうのでしょうか。対処法や良好な関係を築くコツを、夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。
■イクメン論争が熟年離婚に発展することも
ー夫の「イクメン気取り」が妻の激怒を買いやすい理由は?
夫が全体の20~30%ほど育児をやっていると思っていても、妻からみれば3~5%程度に過ぎないという認識のズレがあるからです。自ら「イクメン」と誇る人ほど、日常的なタスクではなく気が向いたときだけ関わっているケースが目立ちます。
本来のイクメンは家事や育児を当たり前のことと捉えているため、わざわざ自称しません。「やってあげている」という姿勢そのものが妻の激怒を買う原因です。
ー育児を「手伝う」というスタンスの何が問題なのでしょうか?
「手伝う」という言葉の根底には、「育児は基本的に妻がやるべきもの」という意識が隠れているからです。妻からすると当事者意識や責任感が欠如しているように感じられます。
育児は名もなきタスクが同時に押し寄せるため、指示待ちでたまに参加するだけでは戦力とみなされません。当事者として自発的に考え、行動しない姿勢が見透かされていることが問題なのです。
ー無自覚な夫が妻との意識のズレを埋める具体的な対話術は?
目の前のタスク消化だけでなく、「どんな家族や生活を目指したいか」という将来の理想を妻から聞き出す姿勢が大切です。自分のやり方を主張せず、妻の望む生活を聞いた上で「そのために自分に何ができるか」を教えてもらうスタンスで対話しましょう。
また、家事や育児の項目を書き出して可視化し、妻が担っている膨大な役割を客観的に認識することも、ズレを埋める有効な手段となります。
ーイクメン論争から熟年離婚に発展するリスクはありますか?
十分に考えられます。「産前産後の恨みは一生」と言われるように、夫が忘れてしまうような一言や無関心な態度を、妻は何十年経っても鮮明に覚えているものです。
ワンオペ状態への不満や孤立感が長年蓄積されると、子育てが落ち着いたタイミングで一気に夫婦関係の破綻へと繋がります。手遅れになる前に妻の思いに耳を傾け、自らの姿勢を改めることが不可欠です。
◆木下雅子(きのした・まさこ) 行政書士、心理カウンセラー
大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)























