「実家にミミさん連れて行ったら仏壇から離れんのですよ」
そんな言葉とともにInstagramへ投稿された動画が注目を集め、110万回以上再生されました。
仏壇の前にちょこんと座っているのは、白三毛の保護猫・ミミちゃん。物陰から顔をのぞかせる男性を見つめながら、「あんた誰?」とでも言いたげに、何度も不思議そうに首をかしげています。
投稿には、「首を傾げている姿が超かわいい」「ご先祖様も大歓迎のミミちゃん」「仏さんの中に大の猫好きがいたのかな?」「信心深い子猫さんですね」といったコメントが寄せられました。
さらに、ミミちゃんと男性が静かに見つめ合う様子にも、「じいちゃんもかわいい」「じいさんもネコ好き確定」との声が。しかし、動画に映っている男性は、投稿者の「じいちゃん」ではなく、お父さんなのだそうです。
投稿したのは、鹿児島で中小企業向けのIT関連事業を営む、飼い主の松屋夏輝さん(@natsubon)。当時の状況や、ミミちゃんを迎えるまでの不思議な縁について聞きました。
■実家の仏壇がお気に入りに
この日は、ミミちゃんを連れて2回目となる実家への訪問でした。今後、家族に預かってもらう可能性もあるため、実家に慣れさせておこうと考えたそうです。
ところがミミちゃんは、仏壇の上に乗ったり、仏壇と壁の隙間に入ってくつろいだりして、なかなかその場から離れません。
「最初は『香炉をひっくり返したら危ないな』と考えていました。そのとき、ミミの様子をうかがう父の姿を後ろから撮影したのが、動画の最初のシーンです」
お父さんは、物陰から顔だけを出すなどして、ミミちゃんの様子を見守っていました。その姿が不思議だったのか、ミミちゃんは首をかしげたまま、お父さんと長い間見つめ合っていたといいます。
「ミミは不思議と父にじゃれていくことが多いです。父は特に猫好きということはないと思いますが、赤ちゃんをあやすようにミミに接するところがあるので、ミミも懐いているのかもしれません」
2人のユーモラスな“見つめ合い”と、ミミちゃんの愛らしい反応が、多くの人の心をつかんだようです。
■20年以上前の夢に現れた「ミミちゃん」
ミミちゃんは、5月中旬ごろに生まれたとみられる女の子。7月初旬、ある家の庭で保護されました。
性格はとても活発で、甘噛みをするくせがあるそうです。他の猫と過ごした経験がないため、噛む力の加減がまだ分からないのだとか。松屋さんは「要教育ですね」と笑います。
松屋さんは子どものころ、元野良猫を短期間飼ったことがありました。しかし、その猫はある日突然、姿を消してしまいます。50歳を過ぎた今も、ときどき寂しさや心残りを感じる一方で、再び猫を飼うことはないと思っていたそうです。
一方、妻は幼少期から「チビ」というシャム猫と暮らしていました。チビちゃんは18歳まで長生きしましたが、20年以上前、松屋さん夫婦が旅行している最中に容体が悪化。2人は旅行を切り上げて実家へ戻りましたが、翌日に亡くなりました。
その日、妻の夢にチビちゃんが現れ、「ミミちゃんをよろしく」と伝えるような出来事があったといいます。
「それ以来、妻は『いつかミミちゃんという猫と出会うのかもしれない』と思いながら、また猫を飼いたいと、時折譲渡会へ足を運んでいました」
■「この子は松屋さんのところの猫」
それから長い年月が過ぎたある日、松屋さんのお客さんが動物病院で里親を募集している子猫を目にしました。その人はミミちゃんを見た瞬間、不思議と「この子は松屋さんのところの猫だ」と感じたそうです。
妻が猫好きで、縁があれば猫を迎えたいと話していたことを覚えており、その場から松屋さんへ写真を送ってくれました。
松屋さんが妻にも写真を見せると、話は瞬く間に進みます。夫婦は動物病院へ向かい、ミミちゃんの「お試しステイ」を始めることになりました。くしくもその日は熊本で地震があり、病院へ向かう車の中で強い揺れを感じたことを、今も覚えているといいます。
20年以上前、夢に現れたチビちゃんが告げた「ミミちゃん」という名前。そして、動物病院で子猫を見た人が感じた不思議な予感。いくつもの偶然が重なり、ミミちゃんは夫婦のもとへやって来ました。
投稿をきっかけにコメントやフォロワーが大幅に増え、動画を見た人から松屋さんへ仕事の依頼まで届いたそうです。
「夫婦としては、チビが亡くなってから数十年を経て、我が家にやってきたミミとの縁に感謝しています」
さっそく福を運んでくれたミミちゃんを、家族は親しみを込めて「松屋家の招き猫」と呼んでいるとか。
数十年の時を経て、不思議な縁に導かれるように家族のもとへやってきたミミちゃん。これからも愛らしい姿で、松屋家にたくさんの笑顔と幸せを招いてくれそうです。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)























