朝から衝撃の告白 ©️おあー/講談社
朝から衝撃の告白 ©️おあー/講談社

多くの人々が、自分の進路や在り方について悩んだことがあるでしょう。おあーさんの作品『エゴ』は、女子中学生に突如突きつけられた現実と母親の思いが描かれた衝撃作品です。同作はX(旧Twitter)に投稿されると約12万ものいいねを集めたほか、新人漫画大賞の特別奨励賞にも選出された注目作です。

女子中学生のヒナは、ある朝トイレを済ませてふと見下ろすと、1個の卵が浮かんでいました。おどろいたヒナが早速そのことを母に伝えると、母は「あなたは鳥人間の末裔よ」と告げます。

じつは、ヒナも母親も鳥の遺伝子を持つ人間であり、無精卵を産むと鳥の遺伝子が呼び起こされるというのです。それは五感が格段に鋭くなり、翼が生えてくるというものでした。母は「鳥として生きるか、人として生きるか、全部あなたが決めるのよ」と告げたのでした。

その後ヒナの中学校では、進路希望アンケートがありました。しかし、とくに進路を考えていなかったヒナは白紙のまま提出します。そこで母に相談すると、まったく表情を変えずに「あなたが決めることでしょう?」と話すのでした。

母は昔から感情の起伏がないため、ヒナは自分のことがどうでもいいのではと心が苦しくなります。進路について自室で悩んでいたそのとき、1羽の鳥が窓を横切っていきました。その姿に美しさと自由を感じ、「ちょっと鳥もありかもな」と思ってしまうのでした。

次の日、ヒナは陽の光を強く感じ、その光に導かれるように登校します。クラスに到着したヒナはカバンを持たず、靴も履いていない状態でした。友人からもらったパンをむさぼるように平らげたほか、匂いに惹かれて倒れたゴミ箱に頭を突っ込もうとしていました。そのうえ、ヒナは友人の腕が肉にみえてかぶりついてしまったのです。

自分が変で恥ずかしいと感じるヒナ。しかしふと気付くと、ヒナは教室のまぶしい光に導かれて窓から飛び立とうとしていました。友人や先生の必死の説得で、ヒナは窓から離れ自宅へ駆け戻ります。母がヒナの部屋を覗き込むと、そこには白い翼を生やしたヒナがいました。

「鳥になりたい…のかも?」と告げるヒナに対し、母は「いいんじゃない?あなたは自由なんだから」と相変わらず表情を変えずに言います。ヒナはその言葉にショックを受けると同時に、進路の苦しさから解放されたい一心で、窓から外へと飛んでいってしまいました。

しかし、見送る母の腕はどこか小刻みに震えていました。なぜ感情を出さないのか、それは母とその母との過去にありました。母の母はずっと鳥になりたがっていましたが、母恋しさゆえにずっと引き止めていました。その結果、化物のような存在となり、無理矢理飛び立ち野山で死んでしまったのでした。

それから母は、感情を出さないように生きてきました。母はヒナに幸せになってほしいからこそ口出しをせず生きてきましたが、それが返ってヒナを苦しませていたことに気付きます。動悸が止まらなくなった母でしたが、するとボロボロになったヒナが泣きながら自宅に戻ってきました。どうやらヒナは、飛ぶのに失敗して翼を折ってしまったようです。ヒナが心配だと気付いた母は大粒の涙をこぼしながら、ヒナと一緒に将来を考えると誓うのでした。

1年後、ヒナは無事に中学を卒業しました。しかし母は進路の選択を手伝ったことで、自分のエゴになっていないか不安なようです。「もう怖くなんかない」「ぜんぶママのおかげだよ」といわれた母は、きごちないながらもはじめて心からの笑顔を見せるのでした。

読者からは「子と親の関わり方もすごく奥深かった」「ハッピーエンドでよかった…」などの声が寄せられています。そこで、作者のおあーさんに話を聞きました。

■作品には親子の尊さのようなものを存分に出したかった

-『鳥人間』をテーマに描いたきっかけについて教えてください

進路に悩む女の子の話をどうしたら面白い話に昇華できるか考えた結果、鳥人間にしようと至りました。鳥や翼は青春時代の曲や作品によくもちいられますので、作品としても読者としてもいい感じにつながりができてとてもいい作品になったと思います。

-作品を描く際にとくに意識したことや、注目してほしいポイントはありますか?

ただただ登場人物をあっけらかんとした感じに、鳥らしさのようなものを少しだけ意識して描きました。そして親子の尊さのようなものを存分に出したかったのでかわいらしさ、憎めなさも意識して描かせていただきました。

-作品には読者から多くのコメントが寄せられていました。

本当に驚きと特大の感謝です。たくさんの方が褒めてくださっていいものを描けたんだなと私自身再認識させられました。本当にありがとうございます!

他作品もぜひお読みいただけたら幸いです!

(海川 まこと/漫画収集家)