みずほペイペイドームの通路にあるトイレ入り口のピクトグラムはマグネット式で、男女の区分を手軽に変えることができる=福岡市中央区
みずほペイペイドームの通路にあるトイレ入り口のピクトグラムはマグネット式で、男女の区分を手軽に変えることができる=福岡市中央区

 「なぜ女性用トイレだけ、いつも行列なの?」。悲痛な叫びが西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。性別に関係なく起きる生理現象にまつわる疑問だけに、水に流すわけにはいかない。取材を進めると、隠れた「不公平」が浮かび上がってきた。(西日本新聞社)

■男性より長い利用時間

 一般的に、トイレの利用時間は女性の方が男性より長い。女性は衣服の上げ下ろしが必要で、月経時には生理用品を交換する手間もかかるためだ。NPO法人日本トイレ研究所(東京)によると、男性の小便器利用時間が平均約30~40秒なのに対して、女性の個室利用は90秒ほどかかるというデータもある。

 にもかかわらず、公共の場や商業施設のトイレに設置されている便器数は、女性の方が少ない傾向にあるという。その実態を明らかにしたのは、行政書士の百瀬まなみさん(60)=東京都目黒区。自身がトイレの行列に困った経験から、2022年に訪問先の便器設置数を集計し始めた。男性用は同行者などの協力を得て、個室と小便器の数をそれぞれ数えている。

九州の空港や駅のトイレの便器数(一部)

 今年4月末までの調査結果によると、全国各地の駅や商業施設など814カ所のトイレで、便器の平均設置数は男性用が女性用の1・75倍多かった。便器設置数が男女同数は39カ所。女性用が上回ったのは34カ所に過ぎなかった。福岡市地下鉄の駅やJR博多駅では“格差”が2倍に達しているトイレもあった。