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復興へ 第5部 都心再生

(11)ダイエー戦略 店舗一新、人の流れ変える
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 「小型ボートの前に、巨大戦艦が現れたようだった」。JR三ノ宮駅東のサンパルビル地下。コープこうべサンパル店の横内隆次副店長(47)はこう表現した。

 地下通路を歩いてほんの十数秒。プランタン神戸が、ダイエー三宮駅前店に変わったのは、震災から三カ月をすぎた四月二十二日だった。

 売り場面積はダイエー一万六千五百平方メートル、コープ六百六十平方メートルで、一〇〇対四の争い。九階建てのうち地下二階から地上一階まで、食料品が三フロアに及ぶ試みは、ダイエーとしても初めてである。

 「プランタン当時に比べるとお客さんで五倍、売り上げで三倍。駅から渦になって人が流れてくる」と、山本徹店長(43)。コープ側も「小回りを利かせればダイエーの集客力を逆に利用できる。ギブアップということは、さらさらない」と強気だが、スーパーの出現は、都心の人の流れを一変させた。

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 神戸を「発祥の地」と位置づけるダイエーグループの施設は三宮、新神戸、ハーバーランドで十一。震災後の対応は素早かった。

 三宮センター街に接するダイエー群の専門別スーパー機能を三宮駅前店に集約。ハーバーランドの会員制安売り店コウズもポートアイランドのバンドールに移した。いずれも現地入りした中内功・ダイエー会長兼社長(73)が直接、被災程度を見届け、指示した。

 さらに、三宮ターミナルビルのプランタン・ヤング館を専門店街オーパに、ハーバーランドのコウズ跡地を商品を特化させた専門大店に変える準備が進む。

 「震災でニーズも変わった。安い生活必需品が求められ、夜も活動する店舗が求められている。百貨店はいらない。要請に合わせて変化するのが流通業の仕事だ」と中内会長兼社長。

 昨年行われた大店法の規制緩和で、業態変更は「店舗入れ替え」の届け出だけで済む。震災特例を取り込み、移転したコウズには、いち早く二十四時間営業を導入した。

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 夜。センター街南の「リビング館」跡地に、派手なネオンが輝く。亜細亜(アジア)屋台村である。一帯には解体された「三宮男館」跡地なども広がる。

 「面的にも、資金力でも、あそこのパワーと表情が地域の商圏特性を決める。中内さんが今後どう出るか、だ」。周辺の商店主らがそう話す跡地利用を、どう考えているのか。

 「それが、今はこれという案がない」と、中内会長兼社長は話し始めた。

 「県も市も補助金をどう持ってこようか、と悩んでいるが、国もカネがない。神戸は、市が旗を振り、経済界が『異議なし賛成』とついて、やってきた。今度はそうはいかないし、市も旗の振りようがない」

 「手立ては、国内外の民間資本の投資を引き出す魅力、人を集める魅力をどうつくるか。ちゃちなことより、十年ぐらいかけて『さすが震災後』と言われることを考えればいい」

 「カジノかどうかは別にして、日本で一つしかないものを造るぐらいの発想転換がいる。砂漠の真ん中にカジノを造ったラスベガスは、コンベンションとショービジネスの街に成長した。『道徳的にどうの、こうの』では前に進まない」

 そして最後に付け加えた。「神戸に育てられたうちとして、土地を売ってハイ、サヨナラとはいかない」

1995/9/5

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