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「都市化と健康」をテーマに人口集中や環境汚染などの問題を扱うWHO神戸センター(世界保健機関健康開発総合研究センター)が震災被災地の神戸市に開設されることになり、十七日、その開所式が神戸商工会議所で行われた。当面、同会議所会館内に仮事務所を置くが、一九九八年夏には同市臨海部の「東部新都心」に第三セクター方式で建設されるビルに移転。研究体制も強化し、世界各国の健康関連調査の分析や情報発信などが行われる。兵庫県や神戸市は同センターを中心にした東部新都心を復興計画の中核に位置付けており、周辺への研究機関や企業誘致に加え、高齢化社会に対応したモデル都市づくりにも役立てる。
同センター構想はフランス・リヨンの国際がん研究所に次ぐWHOで二番目の直轄研究拠点として九一年に浮上。県市や経済界が誘致運動を展開し、震災直後の昨年一月二十三日に設立が決まった。
当面のスタッフは、ポーランド政府の元保健省次官アンジェイ・ボイチャック所長ら四人。今後、世界各国から研究員を公募し、移転時には二十四人体制を目指す。
開所式は地元の官民代表や全国の医学関係者ら約三百人が参加。中嶋宏WHO事務局長が「震災の苦しみの中で、世界の健康に貢献する事業を決断した皆さんに感謝する」とあいさつした後、貝原兵庫県知事や笹山神戸市長が「震災からの創造的な復興に寄与してほしい」と期待を寄せた。
続いてボイチャック所長が同センターの役割を説明。「工業化や都市化が健康に及ぼす影響はだれもが知っているが、それを裏づけるデータは少ない」と指摘し、各国の健康関連情報や調査の収集・分析を柱の一つに挙げた。さらに、インターネットでこれらの結果を発信する一方、世界の研究施設とのネットワークも構築。研究者の受け入れも行うなどの方針を示した。
十八日からセンター開所を記念し、WHO主催のシンポジウムが神戸国際会議場で開かれる。世界十八カ国の研究者が三日間にわたり、高齢化や住宅問題などを討議。神戸センターの活動の口火を切る。
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