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阪神大震災の被災者の仮設住宅が建つ兵庫県芦屋市の市立潮見中学校で四日午前、住宅の撤去作業が始まった。被災地全体で約四万八千戸の仮設住宅が建設されたが、撤去作業は初めて。今回は校庭のほぼ全面に建つ二百戸のうち、南側の十二棟九十七戸が対象で、五月中には作業を終え、空いた敷地の半分が約一年一カ月ぶりに学校に返されることになる。
同市は市域が狭く、公有地が少ないため小・中・高七校に計四百八十二戸の仮設住宅を建設。うち四校はグラウンドが半分以下になり、授業やクラブ活動に影響が出ていた。
仮設住宅の使用期限は二年だが、市は「教育現場の確保」として、学校内仮設の解消に向け、準備を進めてきた。グラウンドの全面を仮設住宅が占めていた潮見中は最優先とされ、今年一月半ば、住民に転居への協力を求めていた。
九十七戸に入居していた八十五世帯のうち、六十六世帯は市のあっせんで市内の仮設へ転居、残りは賃貸住宅や再建した自宅に移った。転居所帯に市から補助金が支給された。
作業は朝九時から、作業員約二十人がエアコンやガスボンベの撤去を始めた。サッカー部の生徒の声が響く中、中学校との仕切りになっていたフェンスも取り除かれた。住民への昼食の炊き出しでふれあいセンターを訪れていた同中三年で生徒会役員の五十君友里さんは「今までは私たちのほうが迷惑を掛けたりした。これで体育祭ができるんでしょうか」と話していた。
同市建設部は「来週から本格的な解体、撤去を始め、五月半ばには学校に返したい」としている。撤去費用は現在、国、県で調整中だが、今回の総工費約三千五百万円は市が立て替える形で行われる。
仮設自治会長の赤松啓三さん(70)は「これから残った人のためにフェンスや駐車場の位置などの問題を市と話し合っていかなければならない。出て行かれた人には気の毒だったが、移転先の仮設から遊びに来る人のためにも人の輪を大切にしたい」と話す。
同中の山本和宏校長(54)は「生徒が運動不足になるなど不自由な状態だったが、住民との交流が生まれ、新たな教育になった」と、感慨深げだった。
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