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恒久住宅へ移転する被災高齢者世帯などへの生活再建支援策を協議してきた与党阪神・淡路大震災復興対策プロジェクトチーム(村岡兼造座長)の最終案が四日、明らかになった。月額二万五千円・一万五千円の給付を骨子とするもので、高齢者世帯のほか要援護世帯も対象にし、阪神・淡路大震災復興基金に新たに二千五百億円を上積みし、運用益を充当する。
同時に県と神戸市は、同制度を早ければ来年四月にもスタートさせる考えを表明。対象には被災後、公営住宅をはじめ民間賃貸住宅や持ち家に移った世帯も加える方向で、被災者個人に現金を支給する新制度は事実上の個人補償に踏み込む措置となる。
最終案によると支給対象は、住宅全半壊で解体を余儀なくされ、恒久住宅に移転した低所得世帯で、六十五歳以上の高齢者世帯、または世帯主が六十五歳未満でも家族に重度障害者がいたり、所得税などが課税されていない生活保護世帯など。
移転後の生活に不安がある被災者を支援し、移行をバックアップするのが狙いで、支給額は、震災前と同じ地域に移転した世帯の場合、単身世帯には一万五千円、夫婦など複数世帯に二万円。震災前の地域と異なる地域に住む世帯では、単身者に二万円、複数世帯に二万五千円としている。
支給は現金給付で期間は五年間。支給理由として、恒久住宅への引っ越し費用や敷金、病院への通院や職探しなどを支援するためとしている。五年間の支給総額は三百八十四億円と見積もっている。
財政当局との折衝もほぼ終え、すでに政府首脳、与党三党の了承も得られており、来週中には取りまとめ作業を終える見通し。
一方、県と神戸市も同日、同制度導入について正式表明。対象の「恒久住宅」には制限を設けず、公営住宅に移った被災者のほか、親類宅から民間賃貸住宅に移った人や持ち家を再建した人、県外の住宅に移り住んだ人も対象にする考えを示した。
同時に最終案では、中低所得者を対象にした生活復興資金貸し付けを、従来の百万円から三百万円に引き上げ無利子、無担保で貸し付けることも盛り込んだ。貸し付けはすでに今月中旬の受け付け開始が決まっており、当面は現行の百万円でスタートし、国との協議が整い次第差額の二百万円の手続きに入る。このため基金に別途五百億円を上積みする方針。
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