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阪神大震災で寸断された神戸・大阪間の大動脈、阪神高速道路神戸線(三九・六キロ)が三十日正午、神戸・深江・西宮・武庫川間の供用再開で全面復旧し、被災地の交通網は六百二十二日ぶりに震災前の姿に戻った。
神戸線は橋脚千三十基すべてが損傷を受け、約三分の一に当たる橋脚三百十一基を造り替えた。臨海部を走る同高速湾岸線を含め五カ所で橋げたが落下し、計十六人が犠牲になり、七十九人が重軽傷を負った。
神戸線の倒壊などについて建設省は、昨年十二月の最終調査報告書で「耐震基準に適合しており、被害は設計を上回る大きな揺れを受けたのが原因」と結論づけ。これを受けて、同公団は「犠牲者の補償は考えていない」としており、遺族側との協議は平行線をたどっている。
復旧工事で、阪神高速道路公団は橋脚の直径を震災前より〇・六メートル太くして約三・四メートルにし、鉄筋も大幅に増やした。橋げたも落下を防ぐため連結部分にワイヤを張ったり、橋げたと橋脚の間に免震ゴムを使ったりし「阪神大震災級の地震には耐えられる」という。 また改修に合わせて新たな遮音壁や低騒音舗装、ボタン式非常電話設置といった環境、防災対策も採用した。
開通式は芦屋料金所で行われたが、震災で多数の犠牲者がでたことからテープカットなど式典は自粛。公団の北村広太郎理事長が「復旧した神戸線は、先の大地震クラスにも余裕をもって耐えられるものになった」とあいさつ、一番乗りのドライバーに花束を贈った。
正午の時報とともに深江や武庫川のほか名神西宮インター入り口が一斉に開放された。芦屋料金所では、小雨がパラつく中、長い列をつくったトラックや乗用車が少しずつ動き出した。
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