阪神・淡路大震災で寄せられた義援金は約千七百九十億円に上った。総額で北海道南西沖地震の七倍、雲仙普賢岳噴火災害の八倍となるが、被災の大きさから一世帯当たりの配分額は極めて少なかった。この結果、義援金が生活再建に役割を果たした過去と異なり、大震災では公的支援の必要性がクローズアップされることになった。同時に被災規模の膨らみは、「迅速性、透明性、公平性」という義援金の三原則を実現する上での困難さも浮き彫りにした。
北海道南西沖地震、雲仙普賢岳噴火災害と比較するため、住宅が全・半壊した世帯を対象とする配分の項目と額を(表)にまとめた。震災では当初、全半壊(焼)世帯への「住家損壊見舞金」を八万件と見込んだ。が、り災証明の一部損壊から半壊への切り替えなどが原因で四十五万件まで増加。大規模災害での義援金配分の難しさを顕著に表した。
配分項目の決定は大きく分けて一次から三次まで。三次決定までに一年半を要した。見込み額と実際の配分額とに差が出てくる可能性があるため、配分の全容を早期に決めることが難しかったのが要因だ。
義援金の三原則に照らすと、対象が多くなるほど迅速性が困難になり、また公平性を重視するほど、対象認定の厳密さが要求され、迅速性と逆行する。
一方、透明性に関しては、日本赤十字社が昨年七月にまとめた義援金取り扱いのガイドラインで▽受け付けや配分、配分基準の定期的な報告▽多額の義援金が集まった場合の義援金からの監査経費支出-などを盛り込んだ。
(社会部・小野秀明、西海恵都子、小西博美、金井恒幸、東京支社・藤井洋一、坂口清二郎)
1999/7/25