「本離れ」が進む現代の子どもたちに、読書の楽しさを知ってほしい。神戸市立新長田図書館(同市長田区細田町7)は、地域の特徴に合わせた積極的な取り組みを続けています。
JR新長田駅から山側に徒歩4分。市営住宅と児童館の複合施設2階にある同館では、季節の絵本を読み聞かせる「えほんの会」や、本を使わずに語るストーリーテリングを楽しむ会などを毎週開催。年4回開く「アニマシオン」は、言葉あそびやお話づくりを通して絵本の世界を体験し、本への興味を育む催しです。
2023年は延べ16万3420人が利用。図書館や本をさらに身近に感じてもらうため、親子に出会う機会をつくろうと、区役所での4カ月健診や近隣の保育所、地域交流拠点「ふたば学舎」に月1回ずつ出向き、読み聞かせを実施しています。
同館のもう一つの特徴は、多様な言語の本を取りそろえている点。外国人や外国にルーツを持つ住民が多い地域性を踏まえ、ベトナム語、中国語、英語の絵本を数百冊集めた本棚を絵本コーナーの前面に設置。文化や国籍の違う人同士の共生を目指す同区のNPO法人「神戸定住外国人支援センター」での読み聞かせにも持参し、参加者に喜ばれているそう。
同館の担当者は「自分にはない視点に気づけるのが、本の魅力。思ってもみなかった本に出合えて無料で借りられる図書館をぜひ気軽に利用してほしい」と話しています。(すきっぷスタッフ 萩原 真)