今夏、明石市の大蔵海岸で開かれた「明石国際アクアスロン大会」で、40代の男性がレース中に倒れ、心肺停止となった。選手として出場していた明石市消防局の隊員らが、レースを中断して男性のもとへ。会場にいた他市の消防隊員らも加わり、計8人で救命措置を続けた。男性は後遺症もなく無事に社会復帰できたといい、大会実行委員会は8人に感謝状を贈った。(新田欧介)
■大会実行委から感謝状「大勢の人に救命講習受けてほしい」
8人は、明石市消防局の中本茂雄さん(51)▽山根寛隆さん(43)▽後藤宏彰さん(44)▽堀井大祐さん(38)▽大崎善裕さん(47)-の5人と、西宮市消防局、加古川市消防本部、三木市消防本部の隊員。いずれも休暇中で、7人は大会に出場、1人は観戦していた。
水泳とランニングの合計タイムを競う同大会は、7月21日の午前中に開かれた。男性が倒れたのは、同海岸海水浴場での水泳を終え、周辺のランニングコースを走っている時だった。よろめくようにして倒れたのを、5メートルほど後方を走っていた救急救命士の中本さんが気づき、一緒に走っていた後藤さんらと駆け寄った。
男性は呼吸をしておらず、心肺停止状態だった。中本さんはすぐに自動体外式除細動器(AED)を持ってくるよう周囲に指示。次々と加わった同僚や他市の消防隊員らと交代で心臓マッサージ(胸骨圧迫)を繰り返した。届けられたAEDで電気ショックを2回加えると、男性の呼吸が戻り、直後に到着した救急隊員に引き継いだ。
「緊張はしたが、日頃の訓練と周囲の助けのおかげで迅速に対処できた」と中本さん。その上で、「AEDによる処置は、その前段階の胸骨圧迫などを適切に行うことが大切になる。今回の事例を教訓に、1人でも多くの人に市民救命講習を受けてほしい」と呼びかける。
同大会の浅田雅之実行委員長(59)は「安心安全な大会の運営のために消防との連携が欠かせない。救助に携わった消防隊員の皆さんに心から感謝している」と話した。