「教室に居場所がないなら、地球丸ごと学校にすればいい」-。子どもの不登校の経験をきっかけに、兵庫県明石市の一家6人が近く、1台のハイエースで日本を一周しながら学ぶ「旅育」に挑戦する。父は元高校教師、母は小学校教師。2人は「教育現場で子どもたちと向き合ってきたからこそ、同じように悩む親子に多様な学びがあることを体現できたら」と意気込む。(赤松沙和)
■出会い求め「自分を好きになれる旅に」
一家は、元高校教員柏木優作さん(40)、小学校教員で、現在は育児休業中の春香さん(38)夫妻と小学生から2歳までの4人の娘たち。
長女心晴(こはる)さんは4歳の時、1万人に1人とも言われる原因不明の「PFAPA(周期性発熱)症候群」と診断された。毎月高熱が1週間ほど続き、欠席を繰り返すうちに疎外感や居心地の悪さからか、1年生の2学期から学校へ行き渋るようになった。
当時は夫婦ともに教師。学校の良さを分かっているからこそ、集団生活で同世代と学んでほしいとの思いが強かった。「働かなければという焦りもあり、無理にでも行かせようと必死だった」と柏木さん。しかし、泣き叫んで嫌がる娘の姿に自問した。「心をすり減らしてまで行かせる場所なのか」
現在心晴さんはフリースクールに通い、2年生の次女そらさん(7)も不登校の傾向がある。2人のために学校以外の学びの機会を模索する中で思い付いたのが、「旅育」だった。
「マイナスのイメージのある不登校の定義をアップデートし、新たな価値観を示したい」。柏木さんは18年間続けた教師を辞め、今回のプロジェクトを立ち上げた。全国の不登校の親子の力になろうと、柏木さんが3年前に立ち上げた一般社団法人「フューチャーフォーキッズ」の事業として取り組む。
今月下旬に出発し、各地の職人や農家などさまざまな人を訪ね、多様な生き方や自然に触れる。宿泊は、プロジェクトに賛同する一般家庭や寺院、車中泊などを想定し、旅の合間には夫妻が基礎学力を指導する。1カ月に1度は自宅に戻って体調や準備を整え、約8カ月かけて巡る計画だ。
出発を前に、心晴さんは「ドキドキするけど、初めての場所に行くのが楽しみ。人見知りがなくなればいいな」とはにかむ。そらさんと双子の三女ななさん(7)は「全国に友達をつくって、都道府県を覚えたい」。末っ子の寿々(すず)ちゃん(2)も「楽しみ」と笑う。
春香さんは「『普通』という価値観を崩せたら。人と違ってもいい。子どもたちが自分自身を好きになれる旅にしたい」と話す。
プロジェクトの様子はSNSで発信し、各地での講演やコラボイベント開催などのほか、旅の記録をまとめた書籍の出版も目指す。フォロワー5万人を超える柏木さんのインスタグラム(@yusaku_kashiwagi)など夫妻のSNSには全国各地から応援や協力のメッセージが続々と届いている。柏木さんは「あたたかい応援が後押ししてくれる。一つの家族のストーリーとして、同じ境遇の人の気持ちが楽になるようなプロジェクトを発信したい」と感謝する。
プロジェクトの費用を募るクラウドファンディング=QRコード=も実施しており、3900円から応援できる。6月27日まで。























