神戸地裁=神戸市中央区橘通2
神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 夫の遺体を自宅に放置したとして、死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職の女(69)の判決公判が9日、神戸地裁であり、丸田顕裁判官は懲役1年、執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。

 判決によると、女は2022年11月下旬~12月末の間、当時住んでいた兵庫県明石市の自宅で夫=当時(61)=が亡くなっていることに気付いたが、今年5月16日まで遺体を放置した。

 裁判で女は「どうしていいか分からなかった。ただ(夫の)そばにいたい気持ちだけだった」と話していた。

 丸田裁判官は判決で「予期せぬ夫の死に困惑し、相談できる人がいない中で時間が経過し起きた」と指摘。刑の執行を猶予する理由について「社会で反省し、夫の供養を尽くす機会を与えたい」と述べ、「無罪放免ではない。再出発に苦労はあると思うが必要な援助を受け、不安があれば周りの人に相談してほしい」と諭した。