兵庫県警甲子園署は24日、大阪府豊中市の男性会社員(36)が、警察官を名乗る男からの電話で「銀行口座の捜査が必要」などと送金を促され、現金730万円をだまし取られたと発表した。男性の携帯電話への着信は、実在する警察署の電話番号が表示されていた。発信者が警察になりすます「スプーフィング」という手口とみられ、県警は詐欺事件として調べている。
甲子園署によると、男性は西宮市内にいた同日午前11時ごろ、警視庁武蔵野署員を名乗る男からの電話を受けた。男は「資金洗浄事件を捜査しており、犯人があなたの名義の口座を購入したと話している」「犯人の口座とつながりがないか送金履歴を捜査するため、お金を指定の口座に送ってもらう必要がある」と説明した。
男性は指定された口座に2回に分けて現金計730万円を振り込んだ。男性の携帯電話には21日にも同じ電話番号からの着信履歴が残っており、調べると武蔵野署の番号と一致した。
男性は「実在する電話番号だったので疑わなかった。振り込んだ後に金額が多額で不審に思った」と話しているという。
警察署の電話番号を装う手口は、インターネットを通じて音声通話を行うサービスを悪用しているとみられる。サービスの提供元によっては発信者の電話番号を任意で変更できる機能があり、国内では今年に入って特殊詐欺事件で発信者番号を偽装する事例が相次いでいる。