文化

  • 印刷
「自分にとって特別な作品になるという予感がある」と目を輝かせる、のん=大阪市内(撮影・坂井萌香)
拡大
「自分にとって特別な作品になるという予感がある」と目を輝かせる、のん=大阪市内(撮影・坂井萌香)
映画「さかなのこ」の一場面((C)2022「さかなのこ」製作委員会)
拡大
映画「さかなのこ」の一場面((C)2022「さかなのこ」製作委員会)

 「うおお、神戸新聞だあ♪」。取材会場に現れたのん(兵庫県神河町出身)は声を上げると、足取りも軽くスタンバイ。2019年度に神戸新聞のイメージキャラクターを務めて以降も、映画や音楽、アートと道を切り開き続け、唯一無二の存在に。ひたすらに「好き」を貫くその姿勢は、今回主演した映画「さかなのこ」のメッセージと、面白いほど共鳴する。(黒川裕生)

 人気者さかなクンの自伝的エッセー「さかなクンの一魚一会」を原作に、「横道世之介」や「キツツキと雨」など、愛すべき主人公を温かく描く名手、沖田修一監督が映画化。のんは、後にさかなクンとなる青年「ミー坊」を天真らんまんに演じた。

 「自分がさかなクンを演じると聞いた時はもちろん驚いたけど、考えてみたら、自分以外に演じられる人なんていない。絶対にやりたいと思いました」

 性別については、沖田監督が「どっちでもいい」と明言。のん自身「演じる上で、男か女かなんて意識も解釈もしなかった」と振り返り、「魚好きのミー坊」になり切ることに全力を注いだという。

 観客を一瞬にして作品の世界に引き込み、登場人物全員を好きにさせてしまう“沖田マジック”は本作でも健在だ。マイペースなミー坊と、不良たちとのとぼけたやりとりなんて、どうしたって笑ってしまう。

 「私は楽しい映画が好きなので、沖田監督の作品が大好き。人間の滑稽な部分を素直に面白がりながら、それをおちゃめに描くスタンスがたまりません」

 代表作の一つ、朝ドラ「あまちゃん」から来年で10年。どんな10年だったか尋ねてみると、「壮絶な10年でした」と不意に真顔をのぞかせた後、「演じることが大好きな“えんぎのこ”として、たくさんの良い作品と関わってこられたし、人生の指針となる人たちとの出会いにも恵まれた10年でもありました」と充実感をにじませた。

 人生の荒波にもまれながらも、自分の道を突き進んでいく「さかなのこ」への思い入れは、だからこそひときわ強い。「自分のキャリアの中でも、特別な一本になる予感がある。このメッセージは、きっと多くの人にまっすぐ届くはず」

 最後は、地元ネタで締めます。「『あまちゃん』や『この世界の片隅に』の影響で、いまだに東北とか広島の人だと思われがちですが、神戸新聞で育ったばりばりの兵庫人ですから。いつか関西弁の役もやってみたいなあ。今後も応援よろしくお願いします!」

 「さかなのこ」はOSシネマズミント神戸などで公開中。

文化
文化の最新
もっと見る
 

天気(9月10日)

  • 32℃
  • 27℃
  • 50%

  • 31℃
  • 24℃
  • 60%

  • 35℃
  • 28℃
  • 50%

  • 35℃
  • 26℃
  • 50%

お知らせ