文化

  • 印刷
科挙の最終試験に臨むため都へと上り、市場でじゃれあう梁文秀(彩風咲奈・右)と李春児(朝美絢)=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
拡大
科挙の最終試験に臨むため都へと上り、市場でじゃれあう梁文秀(彩風咲奈・右)と李春児(朝美絢)=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
勇壮な演舞「挑滑車」を披露する李春児(朝美絢・中央)=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
拡大
勇壮な演舞「挑滑車」を披露する李春児(朝美絢・中央)=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
光緒帝(中央奥)と3人の妃の結婚の儀が催される紫禁城太和殿=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
拡大
光緒帝(中央奥)と3人の妃の結婚の儀が催される紫禁城太和殿=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
日本に向け天津を出航する船に乗る梁文秀(彩風咲奈・右)と李玲玲(朝月希和)=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
拡大
日本に向け天津を出航する船に乗る梁文秀(彩風咲奈・右)と李玲玲(朝月希和)=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
フィナーレでデュエットダンスを披露する彩風咲奈(左)と朝月希和=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)
拡大
フィナーレでデュエットダンスを披露する彩風咲奈(左)と朝月希和=宝塚大劇場(撮影・秋山亮太)

 宝塚歌劇雪組公演「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」が1日、兵庫県宝塚市栄町1、宝塚大劇場で開幕した。浅田次郎のベストセラー小説を原作に、19世紀末、中国・清朝(しんちょう)末期の実在の人物らをモデルにした壮大な歴史ドラマ。トップ、彩風咲奈(あやかぜ・さきな)を中心に、歴史の大波に翻弄(ほんろう)されながら、たくましく生き抜く登場人物たちを雪組が総力を挙げて演じている。

 広大な中国を舞台に権力関係も複雑に入り組む物語を演出の原田諒が宝塚らしく味付けした。

 老占い師に「汝(なんじ)は学問を磨き知を広め、帝(みかど)を扶翼し奉る重き宿命を負うておる」と予言された地主の次男、梁文秀(リァン・ウェンシウ)=彩風=は超難関の科挙の試験に首席で合格。抜きんでた知力を武器に政府中枢にあって改革派として名をはせる。

 文秀と義兄弟の契りを交わした李春児(リィ・チュンル)=朝美絢(あさみ・じゅん)=は「その手にあまねく財宝を手にするだろう」という老占い師の言葉を信じ、故郷に妹・玲玲(リンリン)=朝月希和(あさづき・きわ)=を残して北京へ。宦官(かんがん)になって最高権力者、西太后の側近にまで昇りつめる。

 帝の信頼を得て改革に燃える文秀だが、西太后を担ぐ反対派の策略に乗せられ、窮地に追い込まれる。苦しみ、つらさに次々直面しながら、それを乗り越えていく文秀を、彩風は派手な身ぶり手ぶりを封印し、感情がにじみ出るように見せた。トップとして脂が乗る彩風の演技力、歌唱力の進化が感じられた。

 西太后の前で京劇の役者としての才能も見せつける春児。劇中劇で朝美が披露する立ち回りや踊りは抜群の切れ。自身の不幸な生い立ちを憂う独唱は情感たっぷりだ。彩風の一直線な誠実さに対し、屈折した中に純粋さをのぞかせる朝美の立ち居振る舞いが物語を大いに盛り上げた。朝月の玲玲はけなげだがしんの強さも感じさせる。

 西太后役の一樹千尋(いつき・ちひろ)、老占い師の京三紗(きょう・みさ)をはじめとする専科からの出演者が堅実な演技で脇を固めているのも印象的だった。

 清朝の宮廷衣装の豪華さ、大階段を紫禁城に仕立てた舞台装置に目を奪われる。そこに夢を求めて集まる人々の気持ちと、途上で夢が破れ、恩師が倒れるのを目にするくやしさ、それでも正しい道を歩もうとするまっすぐな心…。さまざまな登場人物の感情が美しい楽曲の数々に彩られた。終盤のショーも中国テイストの音楽、衣装などが続く。

 今作での退団が決まっている朝月と彩風のデュエットダンスは、朝月の柔軟性を生かした振り付け。彩風の優しいまなざし、朝月の柔らかな笑顔から互いの信頼関係が伝わる。美しくきらびやかな王朝時代の中国服で大階段を下りるパレード。最後の最後まで、高揚感がとぎれることのない舞台だった。

 11月7日まで宝塚大劇場で。同26日~12月25日、東京宝塚劇場で上演。(片岡達美)

文化タカラヅカ
文化の最新
もっと見る
 

天気(9月25日)

  • 28℃
  • 24℃
  • 50%

  • 27℃
  • 23℃
  • 50%

  • 30℃
  • 24℃
  • 30%

  • 29℃
  • 23℃
  • 50%

お知らせ