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いちずに互いを思い合う皇太子ルドルフ(柚香光、上)とマリー(星風まどか)=宝塚大劇場
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いちずに互いを思い合う皇太子ルドルフ(柚香光、上)とマリー(星風まどか)=宝塚大劇場
皇太子ルドルフ(柚香光、左)はマリー(星風まどか)と出会い、生きる意味を見いだす=宝塚大劇場
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皇太子ルドルフ(柚香光、左)はマリー(星風まどか)と出会い、生きる意味を見いだす=宝塚大劇場
つかの間、息詰まる日々を忘れ、酒を飲む皇太子ルドルフ(柚香光、中央)=宝塚大劇場
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つかの間、息詰まる日々を忘れ、酒を飲む皇太子ルドルフ(柚香光、中央)=宝塚大劇場
ショー「ENCHANTEMENT」の冒頭、華やかな衣装で登場した柚香光(右)と星風まどか=宝塚大劇場
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ショー「ENCHANTEMENT」の冒頭、華やかな衣装で登場した柚香光(右)と星風まどか=宝塚大劇場
ニューヨークを舞台にした場面で切れのあるステップを披露した柚香光(中央)=宝塚大劇場
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ニューヨークを舞台にした場面で切れのあるステップを披露した柚香光(中央)=宝塚大劇場

 宝塚歌劇花組公演「うたかたの恋」が1日、兵庫県宝塚市栄町1、宝塚大劇場で開幕した。19世紀オーストリアの皇太子ルドルフと男爵令嬢マリーの悲恋を描く。仏作家クロード・アネの小説「マイヤーリンク(うたかたの恋)」を柴田侑宏(ゆきひろ)が舞台化したのが40年前。今回は花組トップスターの柚香光(ゆずか・れい)が抑制の効いた演技で愁いを帯びたルドルフを好演した。

 オーストリア・ハンガリー帝国に君臨したハプスブルク家の没落を背景に、その地位を投げうって愛を選んだ男女の悲しくも美しい物語。30年ぶりに大劇場での上演となった。

 才知にたけた皇太子ルドルフ(柚香)だが、政略結婚で結ばれた妻との仲は冷え切り、心が休まることはない。平民の娘を恋人に持ついとこ、ジャン・サルヴァドル(水美舞斗=みなみ・まいと)のように生きたいと願うルドルフ。そんなとき、マリー・ヴェッツェラ(星風まどか)と出会い、引かれ合っていく。妻とは離婚し、皇太子の地位も手放す覚悟のルドルフだが、2人の運命の歯車は狂い始める。

 柚香演じる白い軍服姿のルドルフがとにかく美しい。ヨーロッパに君臨した名家の貴公子らしい気高さ、気品を、指先にまで気を配ったしぐさや立ち居振る舞いで見せる。今や黄昏(たそがれ)のハプスブルク家の未来、見通しの立たないマリーとの関係…思い悩む場面に、柚香の切れ長の目と伏し目がちなまなざしはピタリとはまる。

 ルドルフに影響を与えるジャンを水美がはつらつと演じ、物語に活気を与えた。ルドルフとマリーの恋は破滅に向かう知りながら観客は、彼と彼女の揺れる心に寄り添う。

 滅び行く帝国のあだ花のような豪華な衣装と舞台装置、ただただ明るいウインナワルツが演奏される舞踏会は、まさに黄昏の宮廷絵巻。新しいヨーロッパの社会と国家のあり方を模索したルドルフだが、マリーとの出会いをきっかけに、自らの「愛と自由」のためにその命をささげることを選ぶ。前時代的な愛の物語が今、逆に新鮮だ。

 後半は香りをモチーフにしたショー「ENCHANTEMENT(アンシャントマン)-華麗なる香水(パルファン)-」。落ち着いた雰囲気の前半とは一転、柚香を中心に、エネルギーあふれる歌と踊りで見せる。

 三つぞろいのスーツにハット、ニューヨークが舞台の場面は、柚香が大好きだというミュージカルスター、フレッド・アステアを意識した小粋なダンス。マリリン・モンローを思わせる風貌の星風とのデュエットダンスもアメリカの都会を演出し、しゃれが効いていた。

 中盤の冒頭、中国風の音楽に合わせ、男役が激しく踊り、一気にボルテージが上がる。新たな生命の誕生を描く近未来の場面では柚香が舞台をところ狭しと駆け回り、ダンス自慢の面目躍如。最後はブロードウェイ・ミュージカル黄金期の名曲をメドレーで歌い踊る。

 いずれも守るべき古典と革新がほどよくミックスされた、新年の幕開けを彩る舞台だった。

 30日まで。2月18日~3月19日、東京宝塚劇場で上演。

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